酒さとニキビの違い|赤み・ぶつぶつをどう見分ける?

酒さとニキビの違い|赤み・ぶつぶつを見分けるポイント

「頬に赤いぶつぶつが出る」「大人になってからニキビが治らない」「ニキビの薬を塗ると、むしろ顔がヒリヒリして赤くなる」——こうした症状では、ニキビだけでなく酒さ(しゅさ)が隠れていることがあります。

酒さとニキビは、どちらも顔に赤い丘疹や膿疱が出るため、見た目だけではかなり似ています。しかも実際の診療では、どちらか一方ではなく、酒さとニキビの両方の要素を持っている人もいます。

見分けるときに大切なのは、「赤いぶつぶつがあるか」だけではありません。面皰があるか、入浴後などに真っ赤になるか、ヒリヒリ・ほてりがあるかまで一緒に見ます。

この記事では、酒さとニキビの違いを、実際の診療で僕が確認しているポイントまで含めて整理します。

目次

酒さとニキビは、なぜ間違えやすい?

ニキビは、毛穴のつまり(面皰)から始まり、そこに炎症が加わることで赤ニキビや膿を持つニキビができます。

一方、酒さでも、頬や鼻を中心に赤いぶつぶつや膿疱が出ることがあります。これを丘疹膿疱型酒さと呼びます。

見た目だけを見ると、どちらも「顔に赤いぶつぶつがある」状態です。そのため、ニキビだと思って何年も治療していたけれど、実際には酒さの要素が強かった、ということもあります。

酒さそのものの症状やタイプについては、「酒さとは?顔の赤み・ほてり・ぶつぶつの原因」で詳しく解説しています。

違い① 面皰があるか

僕がまず見るのは、面皰(めんぽう)があるかです。

面皰とは、いわゆる白ニキビ・黒ニキビです。毛穴がつまった状態で、尋常性痤瘡(ニキビ)の基本的な病変です。

面皰がはっきりあるなら、ニキビの要素を強く考えます。
逆に、赤いぶつぶつや膿疱はあるのに面皰がほとんどない場合は、酒さを考える重要な手がかりになります。

もちろん、面皰だけで100%区別できるわけではありません。酒さとニキビが混在していれば、面皰と酒さらしい赤みが同時にみられることもあります。

違い② お風呂上がりに真っ赤になるか

酒さでは、温度変化によって顔の赤みやほてりが急に強くなることがあります。

診察では、僕はよく「お風呂上がりに顔が真っ赤になりますか?」と聞きます。

入浴、暑い場所、運動、飲酒、香辛料の強い食事などをきっかけに、頬や鼻が急に赤くなる。こうしたフラッシングが繰り返される場合は、酒さを考える材料になります。

ニキビでも炎症による赤みは出ますが、「体温が上がると顔全体が一気に赤くなる」という反応は、ニキビそのものだけでは説明しにくいことがあります。

違い③ ヒリヒリ・ほてりがあるか

もう一つよく確認するのが、ヒリヒリ感、熱感、ほてりです。

酒さのある肌では、見た目以上に刺激感が強いことがあります。スキンケアを塗るとしみる、洗顔後にヒリヒリする、顔が熱く感じる、といった症状です。

こうした刺激症状が強い人に、ニキビ治療として刺激が出やすい外用薬をそのまま始めると、赤みやヒリヒリが強くなり、治療を続けられなくなることがあります。

違い④ 赤みが「背景」にあるか

ニキビでは、赤いニキビそのものの周囲に炎症性の赤みが出ます。

酒さでは、それとは別に、頬や鼻に面として広がる背景の赤みがみられることがあります。さらに、細い血管が透けて見える毛細血管拡張を伴うこともあります。

僕は、ぶつぶつだけを見るのではなく、その下にどんな赤みがあるのかも確認しています。

酒さとニキビの違いを比較すると

見るポイント ニキビで目立ちやすい 酒さで目立ちやすい
面皰 白ニキビ・黒ニキビがみられる 通常は目立たない
赤い丘疹・膿疱 みられる みられることがある
背景の赤み 炎症したニキビ周囲が中心 頬・鼻などに面として持続しやすい
入浴・暑さでの悪化 典型的ではない 赤み・ほてりが強くなることがある
ヒリヒリ・灼熱感 外用刺激などで起こることはある 症状そのものとして伴うことがある
毛細血管拡張 典型的ではない みられることがある
この表はあくまで典型的な傾向です。実際には酒さとニキビが同時に存在することがあり、1項目だけで診断するものではありません。

一番難しいのは「酒さ+ニキビ」が混ざっているとき

実際の診療で難しいのは、「酒さかニキビか」ではっきり二分できない人です。

たとえば、顎には面皰や赤ニキビがある。一方で、頬は入浴すると真っ赤になり、普段からヒリヒリしている。

こういう場合は、ニキビだけを治そうとしても酒さが悪化する可能性がありますし、酒さだけを治療しても面皰は残ります。

僕は「病名をどちらか一つに決める」ことより、
今その人の肌で、ニキビ要素と酒さ要素がそれぞれどれくらい強いかを見て治療を組み立てます。

酒さがあると、ニキビの塗り薬が使いにくいことがある

ニキビでは、アダパレン(ディフェリンなど)は非常に重要な治療薬です。面皰から治療できるため、僕もニキビではよく使います。

ただし、アダパレンは使用開始時に乾燥、赤み、ヒリヒリなどの刺激症状が出ることがあります。

酒さの赤みや刺激感が強い人に無理に使うと、治療そのものがつらくなってしまうことがあります。

そのため僕は、酒さ要素が強いときには、皮膚の状態を見ていったんディフェリンを避けることがあります。

一方で、酒さが落ち着いたあとに、少量から・隔日からなど刺激を抑えながら再導入することもあります。「酒さがあるから一生使えない」ということではありません。

ニキビ治療全体の考え方は、「ニキビ治療の総合ガイド|皮膚科でどう治す?跡を残さないための考え方」で詳しく解説しています。

酒さ要素が強いときは、治療をどう考える?

丘疹・膿疱を伴う酒さでは、日本皮膚科学会のガイドラインで0.75%メトロニダゾールゲルが強く推奨されています。日本ではロゼックスゲル0.75%が酒さに承認されています。

僕も、酒さ要素が強い人ではロゼックスをよく使います。

また、状態によってアゼライン酸外用を選択肢にすることもあります。日本皮膚科学会のガイドラインでは丘疹膿疱型酒さに対する選択肢の一つとされていますが、国内では酒さ治療薬として承認された医薬品ではありません。20%アゼライン酸含有製剤は化粧品として流通しており、国内の酒さ患者を対象にした良質な臨床試験が乏しいことも踏まえて使う必要があります。

タクロリムス軟膏(プロトピック)を使うこともありますが、プロトピックの国内承認適応はアトピー性皮膚炎であり、酒さへの使用は適応外です。

薬の承認状況と、実際の診療で検討される治療の選択肢は同じではありません。適応外治療を含める場合には、その位置づけを理解したうえで使う必要があります。

酒さの治療全体については、「酒さの治療|保険治療と自費治療をどう考える?」でも解説しています。

酒さとニキビが混ざっているとき、内服抗菌薬を使うこともある

丘疹膿疱型酒さでは、テトラサイクリン系抗菌薬の内服も治療選択肢の一つです。日本皮膚科学会のガイドラインでは、国内エビデンスが十分ではないことを踏まえつつ、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリンの内服が選択肢として挙げられています。

酒さと炎症性ニキビが混ざっている場合、僕はミノマイシンを使って両方の炎症を抑えることがあります。

酒さの要素が強い症例では、ニキビだけを治療するときより比較的長めに使うこともあります。ただし、酒さに対するテトラサイクリン系抗菌薬の位置づけは、国内承認やエビデンスを分けて考える必要があります。抗菌薬を漫然と続けるのではなく、症状、副作用、耐性菌の問題、外用治療へ移行できるかを見ながら継続の必要性を評価します。

「ニキビの治療で悪化した」=薬が間違いとは限らない

ディフェリンなどを使って赤みやヒリヒリが出たとき、「この薬は自分には合わない」と感じる人もいます。

もちろん強い刺激が出れば治療の調整が必要です。ただ、もともと酒さの要素があったために刺激が強く出ているケースもあります。

重要なのは、薬を使える・使えないと二択で決めることではなく、今の皮膚状態で何を優先するかです。

酒さの炎症や刺激感を先に落ち着かせ、その後にニキビ治療を少しずつ足していく。逆に、面皰や炎症性ニキビがかなり強ければ、ニキビ治療も同時に必要になる。

ここは患者さんによってかなり変わります。

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 まず面皰があるかを見ます

白ニキビ・黒ニキビがはっきりあるなら、ニキビの要素を考えます。赤いぶつぶつだけを見て判断しません。

2 「お風呂上がりに真っ赤になるか」をよく聞きます

入浴や温度変化で頬や鼻が強く赤くなるなら、酒さの要素を考える大事な手がかりになります。

3 ヒリヒリ感が強いなら、ニキビ治療をそのまま押し込まないことがあります

ニキビにはディフェリンを使いたくても、酒さの刺激感が強い時期には悪化する可能性があります。その時点の皮膚症状を見て、無理に始めないことがあります。

4 酒さとニキビが混ざっているときは、ミノマイシンで両方を狙うことがあります

両方に炎症性のぶつぶつがあるときには、ミノマイシンを比較的長めに使うことがあります。ただし、経過を見ながら継続の必要性を判断します。

5 酒さを落ち着かせてから、あとでニキビ治療を足すこともあります

ロゼックスなどで赤み・刺激感を落ち着かせたあと、面皰が残るならディフェリンを少量・隔日などから再導入することがあります。

6 酒さかニキビか、どちらか一つに無理に決めません

両方が混ざっている人はいます。診断名だけで機械的に薬を決めず、面皰、赤み、ほてり、ヒリヒリ感、その時点の炎症を見ながら治療を組み替えます。

酒さとニキビが混ざっている症例は、治療が難しいです。

だからこそ、最初から「ニキビだからこの薬」と決めず、
その人の肌で何が起きているかを見て治療を調整します。

まとめ|「赤いぶつぶつ」だけでは見分けられない

酒さとニキビはよく似ています。

ただし、面皰の有無、背景の赤み、入浴など温度変化でのフラッシング、ヒリヒリ・ほてり感などを丁寧に確認すると、見分ける手がかりがあります。

さらに実際には、酒さとニキビが同時に存在することもあります。この場合は、片方だけを治療するのではなく、今どちらの要素が強いのかを見ながら治療を組み替える必要があります。

ニキビ治療を続けてもなかなか治らない。
塗り薬を使うと顔が真っ赤になってヒリヒリする。
お風呂上がりに頬や鼻が強く赤くなる。

そんな場合は、一度「ニキビだけなのか」を見直してみてもよいと思います。

参考文献・情報源

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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