酒さの治療を続けていて、「ぶつぶつは減ったのに赤みが残る」「頬や鼻の細い血管が目立つ」という方は少なくありません。
酒さには、赤み・ほてり・毛細血管拡張・丘疹や膿疱など、いくつか異なる症状があります。その中でも、持続する赤みや毛細血管拡張に対する治療の一つがVビーム(595nmパルス色素レーザー)です。
酒さ全体の症状や原因については「酒さとは?顔の赤み・ほてり・ぶつぶつの原因」、薬物治療を含む全体の治療方針は「酒さの治療|保険治療と自費治療をどう考える?」で解説しています。
結論|毛細血管拡張が目立つ酒さではVビームを考える
Vビームを考えやすいのは、次のような場合です。
- 頬や鼻などに細い赤い血管がはっきり見える
- 顔の赤みが持続している
- 丘疹・膿疱を治療しても血管性の赤みが残っている
- 毛細血管拡張や赤みが見た目の悩みとして大きい
一方で、顔が赤いというだけで全員にVビームを行うわけではありません。湿疹、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、酒さ様皮膚炎などでも顔は赤くなるため、まず「何による赤みなのか」を確認することが大切です。
Vビームとは?
Vビームは595nmの波長を用いるパルス色素レーザーです。血液中のヘモグロビンに吸収される光を利用して、拡張した血管を治療します。
同じ色素レーザーは、単純性血管腫(毛細血管奇形)や乳児血管腫などの赤あざにも使われます。赤ちゃんの赤あざについては赤あざとは?|単純性血管腫・乳児血管腫の違いとレーザー治療で解説しています。
日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、紅斑毛細血管拡張型酒さに対して、595nmパルス色素レーザー、1064nmロングパルスNd:YAGレーザー、IPLが治療選択肢として挙げられています。
Vビームが向いているのは「血管が関係した赤み」
酒さの赤みには、炎症による赤みと、拡張した血管が関係する赤みが混在していることがあります。
特に、皮膚表面から細い血管が見える毛細血管拡張や、炎症が落ち着いても残る持続性の赤みでは、塗り薬だけでは十分に改善しにくいことがあります。
このような場合に、血管を治療標的とするVビームを考えます。
丘疹・膿疱があるとVビームはできない?
酒さでは、赤みや毛細血管拡張と同時に、ニキビのような丘疹・膿疱が出ることがあります。
丘疹・膿疱にはメトロニダゾール外用などの薬物治療が中心になります。日本のガイドラインでも、丘疹膿疱型酒さそのものに対してレーザーを一律に勧める位置づけではありません。
ただ、実際には「丘疹・膿疱もあるけれど、毛細血管拡張もかなり目立つ」という患者さんもいます。
その場合、丘疹・膿疱の治療を行いながら、別の治療標的である毛細血管拡張に対してVビームを並行することがあります。ぶつぶつが完全になくなるまで必ず待つ、という考え方ではありません。
ニキビとの見分け方については「酒さとニキビの違い|赤み・ぶつぶつをどう見分ける?」も参考にしてください。
VビームとIPLはどう使い分ける?
酒さの赤みにはIPLが使われることもあります。IPLは幅のある波長の光を照射する治療で、広い範囲にぼんやり広がる赤みに使われることがあります。
一方、Vビームは595nmのパルス色素レーザーで、血管を明確な治療標的として照射します。
どちらが必ず優れているというものではなく、赤みの性質、毛細血管拡張の程度、肌質、使用する機器などによって選択は変わります。
僕自身は日常診療でVビームをよく使用しており、酒さの赤み・毛細血管拡張に対してもVビームをよく選択しています。
Vビームは何回必要?
Vビームは「1回で終わる治療」とは考えない方がよいです。
必要な回数にはかなり個人差があります。6回程度で十分改善する方もいれば、10回以上治療を続ける方もいます。
赤みの程度、毛細血管拡張の量、治療に対する反応が患者さんごとに違うため、最初から「何回で終わります」と決めることは難しいです。
治療間隔はどれくらい?
治療間隔にも一律の正解はありませんが、僕はおおむね月1回程度を目安に照射することが多いです。
治療後の赤みや腫れなどが落ち着いていることを確認しながら、その人の反応に合わせて間隔を調整します。
紫斑は出る?
Vビームでは照射条件によって、治療後に紫色の内出血のような「紫斑」が出ることがあります。そのほか、一時的な赤み、腫れ、ヒリヒリ感などが生じることがあります。
強く照射すればよいというわけではありません。治療効果だけでなく、仕事や学校など日常生活への影響も考えて照射条件を決めます。
IN PRACTICE
実際の診療なら、僕はこう考えます
1 毛細血管拡張が目立つなら、Vビームを積極的に勧めます
酒さの赤みの中でも、細い血管がはっきり見える毛細血管拡張が目立つ場合は、塗り薬だけで十分な改善を得にくいことがあります。本人が赤みを気にしているのであれば、Vビームを治療選択肢として積極的に提示します。
2 丘疹・膿疱があっても、血管拡張が目立てば早めに併用することがあります
ぶつぶつがあるからといって、必ずすべて治ってからVビームを始めるわけではありません。丘疹・膿疱に対する治療は別に行いながら、毛細血管拡張が目立ち、本人も希望する場合には相談しながら比較的早くVビームを併用します。
3 なるべく強い紫斑を出さず、回数を重ねます
僕は1回で大きく変えることを狙うより、できるだけ強い紫斑を出さず、日常生活への影響を抑えながら治療を重ねる方針です。治療後の反応を確認しながら、その人に合わせて照射を調整します。
4 月1回程度を目安にしますが、必要な回数はかなり違います
僕は月1回程度を目安にVビームを行うことが多いです。ただ、必要な回数にはかなり個人差があります。6回程度で十分な方もいれば、10回以上治療する方もいます。最初から回数を決め切らず、治療への反応を見ながら続けるか判断します。
5 十分改善したらいったん終了し、再燃したら追加します
赤みや毛細血管拡張が十分改善したあとも、決まった間隔でずっとレーザーを続けるわけではありません。いったん治療を終了し、その後また赤みが目立ってきた場合に追加照射を考えます。
Vビームは保険で受けられる?
Vbeam Primaは、日本国内では毛細血管拡張症などを含む皮膚良性血管病変の治療を目的として承認されています。
ただし、「酒さの赤みを治療する」という目的の照射が、酒さという診断名だけでそのまま保険適用になるわけではありません。
実際の保険適用は診断された病変や治療内容によって異なり、酒さの赤みを目的とするVビームは自費診療として行われることも多いため、受診する医療機関で確認してください。
Vビームを受ける前に、まず診断が大切
「顔が赤いからVビームを受けたい」と思っていても、その赤みがすべて血管によるものとは限りません。
湿疹や接触皮膚炎など、まず炎症を治療した方がよいケースもあります。レーザーを受けること自体を目的にするのではなく、自分の赤みが何によるものなのか、その中で血管がどの程度関係しているのかを確認したうえで治療を選ぶことが大切です。
まとめ
Vビームは、酒さの中でも特に持続する赤みや毛細血管拡張に対して検討する治療です。
僕は毛細血管拡張が目立つ場合には比較的積極的に提案し、丘疹・膿疱があっても血管拡張が目立てば薬物治療と並行して早めに使うことがあります。
照射はなるべく強い紫斑を出さず、月1回程度を目安に回数を重ねます。ただし必要回数にはかなり個人差があり、6回程度の方もいれば10回以上続ける方もいます。
十分改善したらいったん終了し、再び目立つようになったときに追加治療を考えます。
「酒さだからVビーム」ではなく、赤みの原因と毛細血管拡張の程度を見て治療を選ぶ。これが僕が大切にしている考え方です。
参考文献
医学情報確認:2026年10月
