子どもの体に、つるっとした小さな丸いできものが増えてきた。皮膚科で「水いぼ」と言われたけれど、取ったほうがいいのか、自然に治るのを待っていいのか。特に夏場になると、プールに入ってよいのかも気になるところです。
水いぼは、正式には伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)と呼ばれるウイルス性の皮膚感染症です。自然に治ることもありますが、治るまでに時間がかかり、その間に数が増えたり、きょうだいや周囲の子にうつったりすることがあります。
この記事では、水いぼを「取る・取らない」をどう考えるか、摘除の痛み対策、プールとの付き合い方まで、実際の診療での考え方も含めて解説します。
水いぼとは?
水いぼは、伝染性軟属腫ウイルスによって起こります。幼児から小児に多く、表面がつるっとして光沢のある数mmほどの盛り上がりとして現れます。中央が少しくぼんで見えることもあります。
ウイルスは皮膚どうしの接触などで広がります。自分で掻いた手を介して別の場所に増えることもあり、最初は数個だったものが次第に増えていくことも珍しくありません。
水いぼは自然に治る?
はい。水いぼは自然に治ることがあります。そのため、すべての水いぼを必ず摘除しなければならないわけではありません。
ただし、自然に消えるまでには長い期間がかかることがあります。その間に数が増えたり、掻いて周囲に広がったり、きょうだいなどにうつったりすることがあります。自然治癒を待つか、治療するかは、数や増え方、年齢、本人の負担、生活環境などを見ながら考えます。
水いぼは取ったほうがいい?
ここは皮膚科医によって考え方が分かれるところです。自然治癒を待つ方針もありますが、摘除には「今ある水いぼをその場で取り除ける」という大きなメリットがあります。
特に、まだ数が少ないうちに治療できれば、増えてから何度も通院する負担を減らせることがあります。反対に、すでに多数ある場合や、処置そのものへの恐怖が強い場合には、子どもの負担も考えながら進める必要があります。
摘除はどうやってする?
一般的には、専用のピンセットなどで水いぼを一つずつ摘み取ります。摘除そのものは短時間ですが、痛みを伴うため、局所麻酔のテープやクリームを事前に使用して痛みを軽くする方法があります。
麻酔テープを使う場合は、受診前または処置前に一定時間貼っておきます。ただし、麻酔で減らせるのは主に「痛み」です。診察台に寝ることや、処置されること自体が怖い子では、麻酔をしていても嫌がることがあります。
何個まで一度に取れる?
一律に「○個まで」と決まっているわけではありません。数だけではなく、その子がどのくらい処置を頑張れそうか、恐怖心や痛みの感じ方を見ながら判断します。
無理に続けるよりも、本人の様子を見ながら進めることが大切です。一方で、頑張れそうな子であれば、できる範囲でまとめて摘除することもあります。
水いぼの周りが湿疹になっているときは?
水いぼの周囲に湿疹ができ、かゆくなっている子もよくいます。掻くことで水いぼが広がりやすくなるため、湿疹を放置しないことも大切です。子どもの湿疹そのものについては、「子どもの湿疹|乳児湿疹・アトピーをどう見分ける?」でも解説しています。
湿疹があるから必ず水いぼの摘除を後回しにしなければならないわけではありません。必要に応じて、湿疹の治療と水いぼの治療を並行して行うことができます。
水いぼがあってもプールに入っていい?
水いぼがあるという理由だけで、プールを禁止する必要はありません。日本皮膚科学会などの見解でも、プールの水そのもので感染するわけではないため、入水自体は可能とされています。
一方で、水いぼは接触によってうつるため、プールでは次の点に注意します。
- タオルを共用しない
- 浮き輪をできるだけ共用しない
- ビート板をできるだけ共用しない
- 皮膚どうしが強く触れ合う場面では注意する
- プール後はシャワーで皮膚を洗い流す
園や学校、スイミングスクールごとに独自のルールが設けられている場合もあるため、その点は事前に確認しておくと安心です。
夏前に水いぼが見つかったらどうする?
プール自体を禁止する必要はありませんが、夏場は肌を出す機会が増え、タオルや水泳用具を使う場面も増えます。水いぼが増えてからまとめて治療するより、数が少ない段階で対応したほうが負担が小さく済むこともあります。
- 僕は水いぼは基本的には摘除する方針です。自然に治ることはありますが、その間に増えてしまう子をよく見るからです。
- 特に夏場でプールの予定がある子は、積極的に摘除を考えます。プールの水でうつるわけではありませんが、接触やタオル・水泳用具を介した感染機会はあります。
- 摘除時は麻酔テープを使うことが多いです。ただ、数が少なく、本人が頑張れそうなら、その場ですぐ摘除することもあります。
- 一度に取る数を機械的に決めるのではなく、その子が頑張れる範囲でできるだけ取るようにしています。
- 周囲に湿疹があれば、湿疹を治してから待つのではなく、湿疹の治療と水いぼの摘除を同時に進めることが多いです。
水いぼで皮膚科を受診したほうがいいタイミング
次のような場合は、一度皮膚科で相談してよいと思います。
- 水いぼかどうか判断がつかない
- 少しずつ数が増えている
- かゆみや湿疹を伴っている
- きょうだいにも似たできものが出てきた
- 夏のプールや行事が近い
- 取るべきか自然に待つべきか迷っている
水いぼは緊急性の高い病気ではありません。ただ、時間がたつほど増えてしまうケースもあるため、「もう少し様子を見よう」と迷っているうちに数が増えてきたら、一度相談してみてください。
まとめ
水いぼは自然に治ることもありますが、治るまでに時間がかかり、その間に増えたり周囲へうつったりすることがあります。治療方針は一つではありませんが、摘除は今ある水いぼを確実に取り除ける方法です。
プールの水そのもので感染するわけではないため、水いぼがあるだけでプールを禁止する必要はありません。ただし、タオルや浮き輪、ビート板などの共用は避けることが大切です。
「取ったほうがいいのか」「痛みに耐えられるか」「夏のプールまでにどうしたらいいか」と迷ったら、数が少ないうちに皮膚科で相談するのがおすすめです。
