首のイボ(アクロコルドン)とは?原因と治療方法|液体窒素・切除・レーザー

首のイボ(アクロコルドン)とは?原因と治療方法

首に小さな「いぼ」が増えてきた。ネックレスや服の襟に引っかかる。鏡を見ると、肌色〜茶色の小さな突起がいくつもある。

こうした首の小さなできものの多くは、アクロコルドン(スキンタッグ)と呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。

アクロコルドンは、HPVが原因の「ウイルス性いぼ」とは別の病気です。基本的には感染せず、放置しても問題ありません。ただし、首の「いぼ」に見えるものがすべてアクロコルドンとは限らないため、取る前に診断を確認することが大切です。

この記事では、アクロコルドンの特徴、原因、ウイルス性いぼとの違い、治療法、傷跡や色素沈着まで整理します。

目次

アクロコルドンとは?

アクロコルドンは、首や脇の下などにできやすい、柔らかい良性腫瘍です。一般にはスキンタッグ、日本語では軟性線維腫の一種として扱われます。

典型的には、肌色〜淡い褐色で、数mm程度の小さな突起としてみられます。細い茎で皮膚からぶら下がるように見えることもあります。

首に多発する1〜3mm程度のものをアクロコルドン、より大きいものを軟性線維腫、さらに大きく有茎性に垂れ下がるものを懸垂性線維腫と呼び分けることもあります。

なぜ首に増えるの?

原因を一つに決めることはできませんが、アクロコルドンは加齢とともに増えやすく、皮膚同士や衣類との摩擦が起こりやすい部位にできやすい傾向があります。

特に、

  • 首
  • 脇の下
  • 鼠径部
  • 乳房の下

などにみられます。

肥満や糖代謝異常との関連を示す報告もありますが、首にアクロコルドンがあるからといって、それだけで糖尿病などを意味するわけではありません。

首のイボはうつる?

アクロコルドンそのものは、基本的に人へうつる病気ではありません。

「いぼ」という言葉が使われるため、ウイルス性いぼと混同されやすいのですが、尋常性疣贅はヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症です。

特徴 アクロコルドン ウイルス性いぼ
原因 加齢・摩擦などが関与する良性腫瘍 HPV感染
好発部位 首・脇・鼠径部など 手足などさまざま
表面 柔らかく、比較的なめらか ざらざら・角化することが多い
感染 基本的にしない 広がることがある

ウイルス性いぼについては、「尋常性疣贅(ウイルス性いぼ)とは?」で詳しく解説しています。

放置しても大丈夫?

典型的なアクロコルドンであれば、良性なので必ず取る必要はありません。

ただし、

  • ネックレスや服に引っかかる
  • ひげ剃りで傷つく
  • ねじれて赤く腫れる・痛む
  • 見た目が気になる

といった場合には治療を検討します。

「首のイボ」なら全部アクロコルドン?

いいえ。首にはさまざまな良性腫瘍ができます。

アクロコルドンのほか、脂漏性角化症(老人性いぼ)、ほくろ、ウイルス性いぼなどが似て見えることがあります。まれですが、良性腫瘍に見える病変の中に別の病気が紛れていることもあります。

特に、

  • 急に大きくなった
  • 出血を繰り返す
  • 色や形が不均一
  • 周囲と明らかに違う1個だけの病変

などは、「首イボだから」と自己判断で処置せず、一度診断を確認した方がよいです。

ほくろとの見分け方については、「ほくろとは?良性のほくろと皮膚がんの見分け方」も参考にしてください。

アクロコルドンの治療方法

治療法は、大きさ・数・形・部位・傷跡の残りやすさを見ながら選びます。

1.ハサミなどで切除する

細い茎でぶら下がる小さなアクロコルドンでは、医療用のハサミなどで根元から切除する方法があります。

短時間で除去できるのが利点です。大きさや形によっては局所麻酔を行います。

治療後は小さな創になりますが、通常は浅い傷として治癒していきます。

2.電気焼灼

高周波メスなどで病変を焼灼して除去する方法です。

小さな病変を多数処置する場合にも使われますが、赤みや炎症後色素沈着、まれに瘢痕を残す可能性があります。

3.液体窒素

液体窒素で凍結する方法もあります。

ただし首は色素沈着が目立ちやすく、アクロコルドンでは病変より広い範囲に炎症後色素沈着が残ることがあります。また1回で取れず、複数回必要になる場合もあります。

そのため、首に多数ある小さなアクロコルドンでは、液体窒素が必ずしも一番きれいに治る方法とは限りません。僕自身は、首のアクロコルドンに対しては炎症後色素沈着をできるだけ避けたいので、液体窒素を第一選択にすることはあまりありません。病変の形や数に応じて、ハサミでの切除や焼灼など、周囲皮膚へのダメージを小さくできる方法を選ぶことが多いです。

4.CO2レーザー

CO2レーザーで削る・蒸散する方法もあります。

多数の小さな病変を細かく処置しやすいのが利点ですが、治療後には赤みや色素沈着が起こることがあります。

レーザー治療は、一般に整容目的では自費診療として行われます。

5.大きいものは切除手術

1cm前後以上の大きな軟性線維腫や、太い茎でぶら下がる病変では、局所麻酔をして切除・縫合することがあります。

この場合は、傷跡とのバランスを考えて治療します。

保険で取れる?自費になる?

これは、病変の大きさ・症状・診断・治療方法・治療目的によって異なります。

痛みや出血、引っかかりなど医学的に治療が必要と判断される病変では保険診療になることがあります。一方、多数の小さな首イボを整容目的でまとめて除去する場合や、レーザーで治療する場合は自費診療になることがあります。

「首イボは全部保険」「全部自費」と一律には言えないため、受診する医療機関で確認してください。

取ったらもう増えない?

今あるアクロコルドンを取ることはできますが、新しい病変ができること自体を完全に防ぐ治療ではありません。

加齢や摩擦などが関係するため、除去後に別の場所へ新しいアクロコルドンが増えることがあります。

「再発した」というより、別の新しい病変が増えている場合も少なくありません。

市販薬で取れる?自分で切ってもいい?

自分でハサミや糸を使って取るのは勧めません。

出血や感染のリスクがあるだけでなく、そもそもアクロコルドンではない病変を自己処置してしまう可能性があります。

また、ウイルス性いぼ用の市販薬を首へ自己判断で使用すると、正常皮膚まで傷つけることがあります。

IN PRACTICE

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 まず「本当にアクロコルドンか」を見ます

首の小さなできものでも、脂漏性角化症、ほくろ、ウイルス性いぼなどが混じることがあります。取る方法を決める前に、まず診断をつけます。

2 小さいものを大量に液体窒素で焼くのがベストとは限りません

首は炎症後色素沈着が目立ちやすい部位です。病変の形や数によっては、ハサミでの切除や焼灼など、周囲の皮膚へのダメージをできるだけ小さくする方法を選びます。

3 大きいものほど「取った跡」まで説明します

病変が大きければ、取った後の傷も大きくなります。切除することだけでなく、赤み、色素沈着、傷跡まで含めて方法を選びます。

4 気にならなければ、無理に取る必要はありません

典型的なアクロコルドンは良性です。引っかかる、痛い、出血する、見た目が気になるなど、本人にとって治療するメリットがあるかを考えて決めれば十分です。

まとめ

首にできる小さな「いぼ」の多くは、アクロコルドン(スキンタッグ)と呼ばれる良性腫瘍です。

ウイルス性いぼとは違い、基本的に人へうつるものではなく、気にならなければ治療は必要ありません。

治療する場合は、ハサミによる切除、電気焼灼、液体窒素、CO2レーザー、切除手術などから、大きさ・数・形・傷跡を考えて選びます。

首の「いぼ」に見えるものがすべてアクロコルドンではないため、特に変化のある病変は、取る前に一度診断を確認することが大切です。

参考文献・情報源

  • 日本医事新報社.アクロコルドン(スキンタッグ,軟性線維腫)[私の治療].2020(2026年更新).
  • Aiba S. Curettage therapy for acrochordons and related benign skin tumors. J Dermatol. 2026;53(1):155-159.

医療情報確認日:2026年10月21日

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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