癜風とは?背中や胸の白い・茶色い色むらの原因と治療

癜風とは?背中や胸の白い・茶色い色むらの原因と治療

背中や胸に、白っぽい・茶色っぽい色むらが増えてきた。よく見ると表面に細かい粉のような皮むけがある。そんなときに考える病気の一つが癜風(でんぷう)です。

癜風は、皮膚にもともと存在するMalassezia(マラセチア)属という酵母様真菌が増えすぎることで起こる表在性真菌症です。

癜風は「色が白い・茶色い」だけでは診断できません。白斑や炎症後の色素変化なども似るため、細かい鱗屑を採取してKOH直接鏡検でMalasseziaを確認すると診断がはっきりします。

この記事では、癜風の見た目、白斑との違い、検査、治療、再発予防まで整理します。

目次

癜風とは?

Malasseziaは、足の裏など一部を除き、多くの人の皮膚に普通に存在している常在真菌です。通常は問題を起こしませんが、汗や皮脂、温度・湿度などの条件がそろうと過剰に増殖し、癜風を起こすことがあります。

そのため、癜風は「どこかから菌をもらって感染した」というより、自分の皮膚にいるMalasseziaが増えすぎて起こる病気と考える方が実態に近いです。

どこに、どんな発疹が出る?

2025年の皮膚真菌症診療ガイドラインでは、癜風は胸、背中、肩を中心に、円形〜類円形の色調変化が多発し、互いに融合することがあるとされています。

色は一つではありません。

  • 白っぽく抜けて見える
  • 淡い茶色に見える
  • 赤褐色に見える
  • 周囲の皮膚より濃く見える

表面にはごく細かい鱗屑があり、爪や指で軽くこすると粉をふいたように見えることがあります。

強い痛みは通常ありません。かゆみもないことが多いですが、軽くかゆい人もいます。

白い癜風は、白斑とどう違う?

患者さんが特に心配するのが、「白斑ではないか」という点です。

特徴 癜風 尋常性白斑
色 白・茶色・赤褐色などさまざま 境界明瞭な白色〜完全な脱色素
表面 細かな鱗屑を伴うことがある 通常は滑らか
好発部位 胸・背中・肩など 顔、手、四肢、体幹などさまざま
真菌検査 Malasseziaの菌要素を確認できる 真菌は認めない

色だけで区別するのは難しいことがあります。白斑については、「白斑とは?白い斑点が広がる皮膚病」でも解説しています。

たむし・水虫とは同じ真菌感染?

同じ「真菌による皮膚病」ですが、原因菌は違います。

水虫や体部白癬・股部白癬は皮膚糸状菌が原因です。一方、癜風はMalasseziaという酵母様真菌が原因です。

そのため、見た目や好発部位、検査で見える菌の形も異なります。

体部白癬については、「たむし(体部白癬)とは?」、股部白癬については、「いんきんたむし(股部白癬)とは?」も参考にしてください。

どうやって診断する?

KOH直接鏡検でMalasseziaを確認する

癜風を疑う場合には、皮疹表面の細かな鱗屑を採取し、KOH直接鏡検を行います。

2025年ガイドラインでは、癜風のKOH直接鏡検で太く短い菌糸を確認できるとされています。染色法を併用すると、菌糸と胞子がさらに観察しやすくなります。

見た目だけでも典型的なことはありますが、白斑、炎症後の色素変化、脂漏性皮膚炎などとの鑑別が必要なときには、直接鏡検が非常に役立ちます。

癜風の治療は塗り薬が第一選択

2025年の皮膚真菌症診療ガイドラインでは、癜風に対する抗真菌薬の外用療法は推奨度Aで、第一選択として強く推奨されています。

国内では複数の抗真菌外用薬が癜風に保険適用を持っています。

代表例の一つがケトコナゾール(ニゾラール)です。現在の国内添付文書では、癜風に対して1日1回患部へ外用します。

他にもルリコナゾール、ラノコナゾール、ビホナゾール、テルビナフィンなど、癜風に国内適応を持つ外用抗真菌薬があります。

治療範囲は「目立つ斑点だけ」ではなく、実際の広がりを見ながらある程度広めに塗ることが重要です。

広範囲・再発例では内服も選択肢

病変が非常に広い、外用しにくい、何度も再発するといった場合には、抗真菌薬の内服を検討します。

2025年ガイドラインでは、重症例や再発を繰り返す癜風に対する抗真菌薬内服も推奨度Aです。

日本で癜風に保険適用を持つ内服抗真菌薬はイトラコナゾールです。添付文書上、表在性皮膚真菌症(爪白癬以外)には通常成人50〜100mgを1日1回、食直後に投与します。

一方、2025年ガイドラインでは、重症例・再発例の癜風にイトラコナゾール100mg/日を使用することが推奨されています。

イトラコナゾールは併用禁忌薬が多く、肝機能障害や妊娠などにも注意が必要です。内服する場合は、現在飲んでいる薬まで含めて確認します。

治療したのに白い・茶色い色むらが残るのはなぜ?

ここは癜風で特に誤解されやすいポイントです。

菌がいなくなっても、色だけはすぐに元へ戻らないことがあります。

特に白っぽい色調変化は、治療後も数週間〜数か月残ることがあります。細かな鱗屑が消え、真菌検査も陰性であれば、色が残っているだけで「治療が失敗した」とは限りません。

そのため、色だけを見て抗真菌薬を延々と塗り続けるのではなく、活動性の病変が残っているかを確認します。

癜風は再発しやすい

癜風は治療しても再発しやすい病気です。

2025年ガイドラインでも再発率の高さが指摘されており、発汗後のシャワー、蒸れを減らすこと、室温・湿度の調整などが再発予防として挙げられています。

特に夏場、汗をかきやすい時期、スポーツをする人などでは繰り返すことがあります。

ただし、「汗をかいたから不潔だった」という意味ではありません。Malasseziaはもともと皮膚にいる常在真菌なので、体質・皮脂・発汗・環境など複数の条件が重なって起こります。

マラセチア毛包炎とは別の病気?

同じMalasseziaが関係しますが、癜風とは見た目が違います。

癜風は主に色むらと細かな鱗屑が中心です。一方、マラセチア毛包炎では、胸や背中、肩に赤いぶつぶつ・膿疱が出ます。

背中や胸のニキビとの鑑別については、「背中ニキビ・胸ニキビの原因と治療」でも解説しています。

IN PRACTICE

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 「白い斑点=白斑」とは決めません

胸や背中の色むらで細かな鱗屑があるなら、癜風はよく考える病気です。必要ならKOH直接鏡検で菌を確認し、見た目だけで治療を始めないようにします。

2 まずは外用抗真菌薬で治療します

限局した癜風なら、基本は外用治療です。広範囲に及ぶ、何度も繰り返すなどの場合にイトラコナゾール内服を検討します。

3 色が残っていても、菌が残っているとは限りません

治療後の白斑・色素斑はしばらく残ることがあります。色だけを見て薬を続けるのではなく、鱗屑や真菌検査などで活動性を判断します。

4 再発する病気だと最初に説明します

癜風は再発が珍しくありません。再発したから治療が間違っていたということではなく、汗・湿度・皮脂などMalasseziaが増えやすい条件がそろえば再び出ることがあります。

まとめ

癜風は、皮膚の常在真菌であるMalasseziaが増殖して起こる表在性真菌症です。

胸・背中・肩を中心に、白、茶色、赤褐色などの色むらと細かな鱗屑がみられます。白斑などと似ることもあるため、必要に応じてKOH直接鏡検で診断します。

治療は外用抗真菌薬が第一選択です。広範囲・重症・再発例ではイトラコナゾール内服を検討します。

治療後も色調変化がしばらく残ること、再発しやすいことを知っておくと、必要以上に不安にならず治療を続けやすくなります。

参考文献

医療情報確認日:2026年10月21日

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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