赤ちゃんのおしりが赤くなると、『ただのおむつかぶれ?』『カンジダじゃない?』と心配になることがあります。
おむつの中は、尿や便、汗で蒸れやすく、さらに摩擦も加わるため、皮膚炎が起こりやすい環境です。多くは刺激によるおむつ皮膚炎ですが、経過によってはカンジダなどの感染を合併することがあります。
この記事では、おむつかぶれとカンジダの違い、家庭でできるケア、皮膚科を受診した方がよいサインを整理します。
おむつかぶれとは?
一般に『おむつかぶれ』と呼ばれるものの多くは、尿や便との接触、蒸れ、摩擦などが重なって起こる刺激性のおむつ皮膚炎です。
赤み、ざらつき、軽いただれなどがみられ、悪化すると痛みが出たり、皮膚がむけたりすることもあります。特に下痢が続いているときや、便の回数が増えているときは悪化しやすくなります。
典型的な刺激性おむつ皮膚炎では、おむつが直接触れやすいおしりや外陰部などが赤くなり、深い皮膚のしわは比較的保たれることがあります。
カンジダによる皮膚炎はどう違う?
カンジダは真菌の一種です。湿度が高く蒸れやすい環境で増えやすく、おむつ皮膚炎に続いて二次的にカンジダ皮膚炎を起こすことがあります。
見分けるヒントは「しわ」と「周囲の小さな発疹」
カンジダを疑うときに参考になるのが、皮疹の広がり方です。刺激性のおむつ皮膚炎ではしわが比較的保たれることがある一方、カンジダでは鼠径部などのしわの中まで赤くなることがあります。
また、強い赤みの周囲に小さな赤いぶつぶつや膿疱が散らばる、いわゆる衛星病変がみられることもあります。
重要ポイント
「しわまで赤い」「周囲に小さな赤いぶつぶつ・膿疱がある」はカンジダを疑うヒントですが、見た目だけで確定できるとは限りません。
必要なら顕微鏡検査で確認します
典型的でない場合や、治療しても改善しない場合には、皮膚の一部を採取して顕微鏡で真菌を確認することがあります。『赤いからカンジダ』と決めつけず、必要に応じて診断を確認することが大切です。
まず家庭でできること
おむつをこまめに交換する
尿や便が皮膚に触れる時間を減らすことが基本です。汚れたら早めに交換し、可能であればおむつを外して皮膚を乾かす時間を作ります。
強くこすらず、やさしく洗う
赤くなっている皮膚を何度も強く拭くと、摩擦でさらに悪化します。ぬるま湯などでやさしく汚れを落とし、こすらず水分を押さえるようにします。
皮膚を保護する
ワセリンや亜鉛華を含む保護剤などで、尿や便が直接皮膚に触れにくくする方法があります。刺激性のおむつ皮膚炎では、こうしたバリアを作るケアが治療の土台になります。
薬はどう使う?
炎症が強いおむつ皮膚炎
赤みや炎症が強い場合には、診察のうえで弱いステロイド外用薬を短期間使うことがあります。ただし、おむつの中は密閉されやすく薬の吸収が高まりやすいため、強いステロイドを自己判断で長く塗るのは避けます。
カンジダを疑う場合
カンジダ皮膚炎では抗真菌薬の外用が治療の中心です。日本皮膚科学会の皮膚真菌症診療ガイドラインでは、皮膚カンジダ症の多くは適切な外用抗真菌薬によって改善が期待できるとされています。皮膚・口・陰部に起こるカンジダ症全体については、「カンジダ症とは?皮膚・口・陰部に起こる真菌感染」で詳しく解説しています。
一方で、カンジダではない刺激性皮膚炎に抗真菌薬だけを塗っても、原因となる蒸れや摩擦が続いていれば改善しません。診断とスキンケアの両方が大切です。
皮膚科を受診した方がよいサイン
軽い赤みで、こまめなおむつ交換や皮膚の保護で改善してくるなら、まず家庭で様子を見ることもできます。一方、次のような場合は受診を勧めます。
- 赤みやただれが強く、痛そうにしている
- しわの中まで赤く、周囲に小さなぶつぶつや膿疱が増えている
- ジュクジュク、出血、膿、強いびらんがある
- 数日ケアしても改善しない、または悪化している
- 発熱など皮膚以外の症状を伴う
- おむつの外にも湿疹が広がっている
おむつの外にも皮疹がある場合は、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎など別の病気が重なっていないか考える必要があります。子どもの湿疹全体の見分け方は、「子どもの湿疹|乳児湿疹・アトピーをどう見分ける?」でも解説しています。
IN PRACTICE
実際の診療なら、僕はこう考えます
1 赤いだけで「カンジダ」とは決めません
まず見るのは、どこが赤いのか、しわに入り込んでいるか、周囲に衛星病変があるか、どんな経過で広がったかです。必要なら顕微鏡検査で確認します。
2 薬より先に、刺激を減らせるかを考えます
おむつ交換、洗い方、摩擦、蒸れを変えないまま薬だけ増やしても、なかなか治りません。刺激性のおむつ皮膚炎では、皮膚を守る環境を作ることが治療の土台です。
3 ステロイドが効かないなら、漫然と強くしません
改善しないときは、カンジダが重なっていないか、そもそも診断が違わないかを見直します。おむつ部位は密閉されるため、強い外用薬を自己判断で続けるより、一度診断を確認する方が安全です。
4 おむつの外にも皮疹があれば、別の病気も考えます
おむつ皮膚炎は基本的におむつが触れる範囲の皮膚炎です。体や顔にも湿疹があるなら、アトピー性皮膚炎などを合併していないか、皮膚全体を見て判断します。
最後に:この記事で伝えたいこと
おむつかぶれの多くは、尿や便、蒸れ、摩擦による刺激性皮膚炎です。まずは刺激を減らし、皮膚を保護することが基本です。
一方、しわの中まで強く赤くなり、周囲に小さなぶつぶつや膿疱が広がる場合にはカンジダを疑います。ただし、見た目だけで決めつけず、改善しないときは診断を見直すことが大切です。
参考文献
- 日本皮膚科学会.皮膚真菌症診療ガイドライン 2025.
- 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会.アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024.
- DermNet. Napkin dermatitis.
