Qスイッチルビー・ピコレーザー・IPL|シミ取りは結局どれを選ぶ?

Qスイッチルビー・ピコレーザー・IPLの比較

「シミ取りならピコレーザーが一番いいですか?」

「Qスイッチルビーは古いレーザーですか?」

「IPLの方がダウンタイムが少ないなら、IPLの方がいいですか?」

シミ治療をしていると、こういった質問をよく受けます。

レーザーについて調べれば調べるほど、結局どれを選べばいいのか分からなくなってしまう人も少なくありません。

僕の答えは、

「一番いい機械が一つあるわけではない」

です。

前の記事でも書いたように、まず重要なのは、その色素斑が老人性色素斑なのか、肝斑なのか、ADMなのか、そもそもシミではないのかを診断することです。

そのうえで、何を治したいのか、どのくらいのダウンタイムを許容できるのか、シミだけを取りたいのか、肌全体も一緒に治療したいのかによって、僕は治療方法を変えています。

診断から考える理由は、前の記事「シミは全部同じではありません|治療前に『診断』が大切な理由」で詳しく解説しています。

目次

Qスイッチルビー・ピコレーザー・IPLは同じ治療ではありません

Qスイッチルビーレーザー、ピコレーザー、IPL。

どれも「シミ取り」として紹介されていますが、同じ治療ではありません。

Qスイッチルビーレーザーは694nmの波長を使用し、非常に短い時間で色素にエネルギーを与えるレーザーです。

ピコレーザーは、従来のQスイッチレーザーよりさらに短いピコ秒という単位で照射します。ただし、「ピコレーザー」という名前だけでは治療内容は決まりません。機種によって波長も異なり、ピコスポット、ピコトーニング、ピコフラクショナルでは目的も違います。

IPLはレーザーではなく、幅のある波長の光を照射する光治療です。

そのため、「どれが一番強いのか」「どれが一番新しいのか」だけで治療を決めることには、あまり意味がないと僕は考えています。

Qスイッチルビーレーザーは、目立つシミをしっかり取りたい人に

僕がQスイッチルビーレーザーを考える典型的なケースは、輪郭のはっきりした老人性色素斑があり、「多少ダウンタイムがあってもいいので、このシミをしっかり治療したい」という人です。

Qスイッチレーザーには、日光黒子に対する長い治療実績があります。

「昔からあるレーザーだから、ピコレーザーより劣っている」という意味ではありません。

僕自身、目立つ老人性色素斑をピンポイントでしっかり治療したい場合には、Qスイッチルビーレーザーは今でも非常に良い治療だと考えています。

ただし、照射後には赤みが出たり、病変の表面が反応してかさぶたのようになったりすることがあります。また、日本人では治療後に炎症後色素沈着、いわゆるPIHが出ることもあります。

僕が診察中に「一発で取りたい人にはQスイッチ」と説明することがありますが、これは「一度照射すれば必ず完全に消える」という意味ではありません。

正確には、

「多少のダウンタイムを許容して、少ない治療回数で目立つシミをしっかり狙いたい」

という人に向いている、と考えています。

ピコレーザーは、シミ以外の肌悩みも一緒に考えたい人に

ピコレーザーも老人性色素斑に対する有効な治療選択肢の一つです。

ピコ秒レーザーでは、従来のナノ秒レーザーと比較して治療後の炎症やPIHが少なかったとする研究もあります。

ただし、レーザー治療は波長、機種、出力、照射方法、患者さんの肌質などによって結果が大きく異なります。

そのため、「ピコレーザーなら必ずQスイッチレーザーよりダウンタイムが短い」「ピコレーザーならPIHが起こらない」とは言えません。

僕自身も、ダウンタイムをできるだけ抑えたい人ではピコレーザーを選択することがあります。ただし、「ピコだからダウンタイムがない」という意味ではありません。ピコスポットでも赤みやかさぶた、PIHが生じることがあります。

僕がピコレーザーを選ぶもう一つの大きな理由は、

「シミだけではなく、ほかの肌悩みまで治療計画に組み込みやすいこと」

です。

ピコスポット、ピコトーニング、ピコフラクショナルは別の治療です

「ピコレーザーを受けました」と言っても、実際には何を受けたのかによって治療内容はかなり違います。

ピコスポット

老人性色素斑など、狙った色素斑に対して照射する治療です。

「このシミを取る」という目的で使います。

Qスイッチルビーレーザーと比較するときに中心になるのは、このピコスポットです。

ピコトーニング

低い出力で広い範囲を繰り返し照射する方法です。

肌全体の色調やくすみなどを目的に行うことがあります。

ただし、「くすみ」は医学的に一つの病気ではありません。肝斑、炎症後色素沈着、紫外線による色調変化など、原因によって対応は変わります。

特に肝斑がある場合には、「弱いレーザーだから、とりあえずトーニングをしておけばいい」とは僕は考えていません。

肝斑ではレーザートーニングによる改善が報告される一方で、再燃や色素脱失などが問題になることもあります。

まず何による色調変化なのかを診断してから治療することが重要です。

ピコフラクショナル

ピコフラクショナルは、シミをピンポイントで取る治療とは目的が違います。

エネルギーを細かく分割して皮膚に照射し、皮膚のリモデリングを促すことで、毛穴、肌質、ニキビ跡などへの改善を狙う治療です。

そのため僕は、「シミだけではなく毛穴や肌質も一緒に治療したい」という人では、ピコレーザーを使った治療計画を考えることがあります。

僕がピコレーザーを選ぶことが多いのは、こんな人です

たとえば、「この一個の目立つシミを取りたい」という希望だけなら、Qスイッチルビーレーザーで十分良いことがあります。

一方で、「シミも取りたいけれど、顔全体のくすみも気になる」「毛穴も気になる」「肌質治療も一緒にしていきたい」という人なら、僕はピコレーザーを使った治療計画を考えることが多くなります。

シミにはピコスポット、色調については状態を見ながらピコトーニング、毛穴や肌質にはピコフラクショナルというように、治したいものに合わせて考えます。

もちろん、これらを全員に行うわけでも、必ず同じ日に全部行うわけでもありません。その人の肌を診て、必要な治療だけを選びます。

僕にとってピコレーザーの良さは、「Qスイッチより新しいから」ではなく、

「目的の異なる治療を一つのプラットフォームで組み立てやすいこと」

にあります。

IPLはどうなのか

IPLも、日光黒子などに対する治療効果が報告されている治療です。

特に、顔全体に細かい色素斑や色むらが散らばっている場合には、広い範囲を一度に治療できるという特徴があります。

そのため、「IPLはレーザーより劣る」とは僕は考えていません。

ただ、僕自身の診療ではIPLを第一選択として積極的に勧めることはそれほど多くありません。

輪郭のはっきりした老人性色素斑であれば、Qスイッチルビーやピコスポットなど、病変を直接狙う治療を選択することが多いからです。

これはIPLが悪い治療だからではありません。その患者さんの病変を診断し、「何を治療したいのか」を考えた結果として、僕自身はQスイッチやピコを選択することが多い、ということです。

Qスイッチルビー・ピコ・IPLを簡単に比較すると

治療 主な使いどころ ダウンタイム 特徴
Qスイッチルビー 輪郭の明瞭な老人性色素斑をしっかり狙いたい場合 赤み、かさぶた、PIHなどを考慮 色素斑をピンポイントで治療しやすい
ピコスポット 老人性色素斑などを狙って治療したい場合 条件によって比較的抑えられる場合もあるが、赤み、かさぶた、PIHが起こる可能性はある 非常に短いパルス幅で色素を治療する
ピコトーニング 色調やくすみなどを広く治療したい場合 比較的軽いことが多い 何による色調変化なのかを診断することが重要
ピコフラクショナル 毛穴、肌質、ニキビ跡など 赤みなどが出ることがある 色素斑を取るスポット治療とは目的が異なる
IPL 細かい色素斑や色むらを広範囲に治療したい場合 比較的軽いことが多い 広い範囲を一度に治療できる

この表だけで治療を決めるのではなく、実際にはシミの種類、肝斑の有無、肌質などを確認したうえで選択します。

実際の診療なら、僕はこう考えます

目立つシミをまずしっかり取りたい

輪郭のはっきりした老人性色素斑で、ある程度のダウンタイムを許容できるなら、Qスイッチルビーやピコスポットを考えます。

特に、「この一個をなんとかしたい」という希望であれば、スポット治療を選ぶことが多いです。

シミだけではなく、肌全体も治療したい

シミに加えて、くすみ、毛穴、肌質なども気になっているなら、ピコレーザーを使って複数の治療を組み立てることがあります。

シミにはピコスポット、色調については状態を見ながらピコトーニング、毛穴や肌質にはピコフラクショナルというように、その人が治したいものに合わせます。

顔全体に細かいシミがたくさんある

IPLも選択肢になります。

ただ、僕自身は診断した病変をQスイッチやピコで直接治療することが多いため、IPLを積極的に第一選択にすることは多くありません。

肝斑もある

この場合は、「Qスイッチとピコのどちらにしよう」というところから考えません。

まず肝斑を落ち着かせることを考えます。そのうえで老人性色素斑などが混在しているなら、その病変を狙って治療します。

これは、第1号記事でお伝えした「焦ってレーザーを当てないことも、シミ治療の一つ」という考え方につながります。

Qスイッチとピコのどちらが上、という話ではありません。

何を治したいのか。
どこまで治したいのか。
その人に合わせて、僕は治療を選びます。

Qスイッチルビーは「古いレーザー」なのか

僕はそうは考えていません。

美容医療では「最新」という言葉が非常に強く使われます。

でも、「新しい機械=自分に一番いい治療」とは限りません。

Qスイッチレーザーには長い治療実績があります。ピコレーザーにはピコレーザーの良さがあり、IPLにもIPLの得意な場面があります。

だから僕は、「一番新しい機械はどれか」ではなく、

「この人には何が合っているか」

で治療を選びたいと思っています。

ピコレーザーならダウンタイムがないわけではありません

「ピコレーザーは新しいからダウンタイムがない」というイメージを持っている人もいます。

しかし、ピコレーザーであってもスポット照射をすれば赤みやかさぶた、治療後の色調変化が起こることがあります。PIHが起こる可能性もあります。

ピコ秒レーザーで従来のナノ秒レーザーより治療後の炎症やPIHが少なかったとする比較研究もありますが、波長、機種、照射条件などが異なるため、その結果をすべてのピコレーザーとQスイッチレーザーに当てはめることはできません。

そのため、「ピコなら必ずダウンタイムが短い」「ピコならPIHが起こらない」とは考えない方がいいと思います。

結局、どれを選べばいい?

シミ治療では、「Qスイッチルビーとピコのどちらが上なのか」という発想だけで治療を選ばない方がいいと思います。

僕ならまず、何のシミなのか、シミをどこまで取りたいのか、どの程度のダウンタイムまで許容できるのか、シミ以外に、くすみ、毛穴、肌質なども治療したいのかを考えます。

その結果として、Qスイッチルビーになることもあれば、ピコになることもあります。IPLが適している場合もあります。

僕が大切だと思っているのは、

「最新の機械を選ぶこと」ではなく、「自分のシミと、治療の目的に合った方法を選ぶこと」

です。

まとめ

Qスイッチルビー、ピコレーザー、IPLには、それぞれ得意なことがあります。

Qスイッチルビーは、輪郭のはっきりしたシミをしっかり治療したい人に非常に良い選択肢です。

ピコレーザーはシミのスポット治療だけでなく、照射方法を変えることで、色調、毛穴、肌質などまで治療計画を広げられることが魅力です。

IPLは、広い範囲に存在する細かい色素斑や色むらをまとめて治療するときに選択肢になります。

ただし、その前提にあるのは、

「何のシミなのかを診断すること」

です。

僕は、診断して、その人が何を治したいのかを聞いて、そのうえで機械を選ぶ。この順番を大切にしています。

Qスイッチとピコのどちらが優れているかではなく、その人にどちらが合っているか。
それが、僕のシミ治療の考え方です。

参考文献・参考資料

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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