たむし(体部白癬)とは?輪っか状の発疹が広がるとき

たむし(体部白癬)とは?輪っか状の発疹の症状・原因・診断・治療の目安

「丸い発疹が少しずつ大きくなる」「真ん中は落ち着いているのに、ふちが赤くてかゆい」。そんなときに考える病気の一つが、たむし(体部白癬)です。

ただし、輪っか状という形だけでは診断できません。湿疹などでも似た発疹がみられるため、見た目と経過を確認し、必要に応じて皮膚の検査で原因を確かめます。

輪っか状の発疹=たむし、とは限りません。見た目だけで決めず、必要なら検査で診断し、原因に合った治療につなげることが大切です。
目次

たむし(体部白癬)とは?

体部白癬は、皮膚糸状菌(白癬菌)という真菌が皮膚に感染して起こる病気です。「たむし」はその身近な呼び名で、体幹や腕・脚などに発疹ができます。白癬は感染する部位によって呼び方が異なり、足にできるものが水虫(足白癬)、股の周囲にできるものが股部白癬(いんきんたむし)です。背中や胸に白い・茶色い色むらが出る真菌症としては、皮膚糸状菌ではなくMalasseziaが原因の癜風もあります。[1,2]

輪状・環状に広がる発疹と、似ている病気

典型的には、かゆみを伴う赤い発疹が外側へ広がり、ふちに細かな皮むけ(鱗屑)がみられます。中心の赤みが薄くなることで、輪っか状・環状に見えるのが特徴です。ただし、必ずきれいな円になるわけではなく、境界が分かりにくい場合もあります。[1,2]

湿疹、特に丸い形の貨幣状湿疹なども鑑別に挙がります。接触皮膚炎(かぶれ)を含め、赤みやかゆみだけでは区別がつかないことがあります。写真との見比べだけで、白癬と決めないことが重要です。[1,5]

確認すること 体部白癬を考える手がかり それだけでは決められない理由
発疹の形 ふちが赤く、皮むけを伴って外側へ広がる 湿疹などでも丸い発疹ができる
かゆみ かゆみを伴うことが多い かゆみは白癬だけの症状ではない
検査 皮膚から採った材料で真菌を確認する 発疹の経過や薬の使用歴も合わせて判断する
市販薬を試す前に、原因の確認を。白癬にステロイドを自己判断で塗ると、感染が広がったり、発疹の見た目が変わって診断が難しくなったりすることがあります。市販のかゆみ止めにもステロイドを含む製品があります。すでに使った場合は、薬の名前・使用期間・塗る前の写真を診察時に見せてください。抗真菌薬を含め、使った薬はすべて伝えましょう。[4]

診断は、必要に応じてKOH直接鏡検などで確認する

診察では、いつから、どこにでき、どう広がったかを確認します。白癬を疑うときには、皮むけなどを少量採り、KOH(水酸化カリウム)で処理して顕微鏡で真菌を探す「KOH直接鏡検」が基本的な検査になります。[3]

見た目が典型的でない場合や治りにくい場合などは、原因菌を調べる培養検査が役立つこともあります。検査の種類や追加の必要性は、診察所見と経過に応じて判断します。[1,3]

治療の基本は抗真菌薬

皮膚に限局した病変では、塗り薬が基本

体部白癬には、菌を抑える抗真菌薬の外用が基本です。薬の種類、塗る範囲、回数、期間は、部位や広がりなどに合わせて決めます。かゆみや赤みが軽くなっただけで自己判断で終了せず、指示された期間使うことが大切です。[1,4,6]

広範囲・難治例では、治療方針を見直す

外用薬を十分に塗れない部位や広範囲の病変、再発を繰り返す場合などでは、抗真菌薬の内服を検討します。治りにくいときは薬を足すだけでなく、診断、塗り方、感染源などを再確認します。内服の適否は、持病や併用薬なども踏まえて医師が判断します。[1,6]

家族や動物との接触も、確認が必要な場合がある

白癬は人や動物との接触、タオルなどの共有を介してうつることがあります。家族に似た発疹がある、ペットとの接触後に発症した、接触の多いスポーツをしている、といった情報も診断の手がかりです。タオルの共用を避け、皮膚を清潔に保ち、汗をかいた後は乾いた衣類に替えるなど、感染を広げない工夫をします。[2,5]

家族やペットが感染源だと見た目だけで決めつける必要はありません。疑わしい症状がある場合は、家族は医療機関、ペットは動物病院へ相談し、必要な確認を受けてください。

皮膚科を受診した方がよい目安

  • 輪っか状の発疹が少しずつ広がる、数が増える、原因が分からない。
  • 市販薬を使っても改善しない、繰り返す、ステロイドを塗った後に広がった。
  • 範囲が広い、炎症が強い、頭皮の皮むけや脱毛、爪の変化もある。
  • 免疫を抑える治療中などで感染への注意が必要、家族にも似た症状がある。

自己判断で薬を次々に替える前に相談しましょう。受診時に、使った薬と発疹の変化を伝えると、原因と治療を考える助けになります。[4,5]

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 輪っか状でも、見た目だけでは決めません

体部白癬らしい形でも、湿疹など似た病気があります。必要ならKOH直接鏡検で白癬菌を確認してから治療します。

2 治りにくいときは、薬を強くする前に診断を見直します

外用しても改善しない場合は、そもそも白癬なのか、塗り方や範囲は適切か、感染源が残っていないかをもう一度確認します。

3 家族・足白癬・動物など、感染源も一緒に考えます

繰り返す場合は、患部だけを見るのではなく、足白癬・爪白癬、家族内感染、ペットとの接触なども確認します。

まとめ

たむしは輪っか状に広がる発疹を起こしますが、湿疹などとの見分けには診察や検査が必要です。白癬と確認できれば抗真菌薬が治療の基本となり、広がりや経過によって方針が変わります。原因が分からないままステロイドなどを使い続けず、薬の使用歴も含めて皮膚科で相談してください。

参考文献・情報源

医学情報の確認日:2026年10月20日。

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日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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