酒さの治療|保険治療と自費治療をどう考える?

酒さの保険治療と自費治療、薬・レーザー・スキンケアの役割を解説する記事のアイキャッチ画像

酒さの治療は、「酒さだからこの薬」という一択ではありません。

顔の赤み・毛細血管拡張が中心なのか、ニキビのような丘疹・膿疱が中心なのかで、効きやすい治療が違います。

僕は酒さでは、まず症状の中心を見極めて、保険治療でできることと、自費治療で補う部分を分けて考えます。

酒さそのものの症状や診断については、「酒さとは?顔の赤み・ほてり・ぶつぶつの原因」で詳しく解説しています。

目次

酒さは症状によって治療が変わる

日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、酒さを主な症候に合わせて考えます。

  • 赤み・毛細血管拡張が中心
  • 赤いぶつぶつ・膿疱が中心
  • 鼻の皮膚が厚くなる鼻瘤
  • 眼症状を伴うタイプ

実際には複数が重なります。だからこそ、スキンケアだけ、塗り薬だけ、レーザーだけで全員を同じように治療するのは無理があります。

ぶつぶつ・膿疱が中心なら、まずメトロニダゾール外用

丘疹膿疱型酒さに対して、日本のガイドラインは0.75%メトロニダゾールゲルを推奨度Aとしています。

国内試験でも、12週間の外用で炎症性皮疹数や紅斑の改善が示されています。日本では酒さに対する承認薬であり、保険診療で使える重要な選択肢です。

僕は、赤いぶつぶつや膿疱が主体なら、まずこうした薬物治療をしっかり行います。最初からレーザーだけで押し切ろうとはしません。

内服抗菌薬を使うこともある

丘疹・膿疱が多い場合には、テトラサイクリン系抗菌薬を使うことがあります。ガイドラインではドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリンが選択肢として挙げられています。

酒さに対する抗菌薬は、単純に「菌を殺すため」だけではなく、抗炎症作用を期待して使われます。

ただし、薬剤ごとに国内での承認状況は異なります。漫然と長期に続けるのではなく、症状が落ち着けば治療を整理します。

赤み・毛細血管拡張が中心なら、塗り薬だけでは限界がある

持続する赤みや細い血管が目立つ紅斑毛細血管拡張型酒さでは、日本のガイドライン上、全員に一様に勧められる外用薬はありません。

一方、595nmパルス色素レーザー、1064nmロングパルスNd:YAGレーザー、IPLは選択肢の一つとして推奨されています。

つまり、ぶつぶつに効く薬と、血管由来の赤みに効く治療は別物です。

Vビームはどんなときに考える?

Vビームは595nmのパルス色素レーザーです。赤みや毛細血管拡張をターゲットにするため、赤ら顔が主症状の酒さでは有力な選択肢になります。

僕がVビームを考えるのは、例えば次のようなケースです。

  • 薬でぶつぶつは改善したが、赤みが残る
  • 毛細血管拡張が目立つ
  • ほてりよりも持続性紅斑が主症状
  • 赤みが見た目の悩みとして大きい

一方、丘疹・膿疱が強いのに、薬物治療を十分にせずレーザーだけを繰り返すのは僕はあまり勧めません。

酒さに対するVビームなどのレーザー治療は、通常は自費診療として行われます。保険適用になる血管病変とは扱いが異なるため、受診先で費用と適応を確認してください。

アゼライン酸は?

アゼライン酸は海外では酒さ治療に使われ、日本のガイドラインでも丘疹膿疱型酒さの選択肢の一つです。

ただし、日本では酒さ治療薬としての医薬品承認状況が海外と異なります。刺激感が出ることもあるため、「海外で標準だから全員に同じように使う」とは考えません。

スキンケアは治療の一部

酒さの皮膚は刺激に反応しやすいことがあります。ガイドラインでも、遮光、低刺激性の洗顔料、保湿剤などの適切なスキンケアは選択肢として推奨されています。

僕は次のような点を確認します。

  • 洗いすぎていないか
  • スクラブやピーリングを頻繁に使っていないか
  • 刺激の強い化粧品を重ねすぎていないか
  • 日焼け止めを使えているか
  • 熱、飲酒、辛い物など本人の悪化因子がないか

すべてを禁止するのではなく、本人にとって明らかに悪化するものを減らします。

「酒さ様皮膚炎」では治療が違う

顔の赤みがあるからといって、全部が酒さではありません。長期間のステロイド外用などによる酒さ様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎、ニキビなどとの鑑別が必要です。

ここを間違えると、効かない治療を続けることになります。僕は美容治療の前に、まず診断を確認します。

IN PRACTICE

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 まず「本当に酒さなのか」を確認します

顔の赤みやぶつぶつには、ニキビ、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎など似た病気があります。美容治療へ進む前に、まず診断を確認することを大切にしています。

2 赤み中心か、丘疹・膿疱中心かで治療を分けます

同じ酒さでも、ぶつぶつが主体なのか、持続する赤みや毛細血管拡張が主体なのかで選ぶ治療は違います。丘疹・膿疱には薬物治療、血管性の赤みにはレーザーや光治療というように、症状ごとの役割を分けて考えます。

3 「赤いからレーザー」で終わらせません

Vビームなどのレーザーは良い治療になり得ますが、酒さそのものを何でも解決する万能治療ではありません。皮膚の刺激を減らすスキンケアや悪化因子への対策も含めて治療します。

4 保険と自費を対立させず、役割で使い分けます

保険診療だけ、自費診療だけに偏る必要はないと考えています。保険でできる薬物治療を土台にしつつ、必要な人には赤みへのレーザーなど自費の選択肢も説明し、症状と希望に合わせて組み合わせます。

まとめ

酒さでは、ぶつぶつが中心ならメトロニダゾール外用などの薬物治療、赤み・毛細血管拡張が中心ならVビームなどのレーザー・光治療が選択肢になります。

まず何が主症状なのかを診断し、そのうえで保険治療と自費治療を使い分けることが、遠回りを減らすポイントです。

参考文献

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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