AGA治療|フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルの違い

AGA治療でフィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルの違いを解説する記事のアイキャッチ画像

AGA治療を調べると、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルという名前が必ず出てきます。

ただ、この3つは「どれが一番強い薬か」を単純に競う薬ではありません。抜け毛の進行を抑える薬と、発毛を後押しする薬では役割が違うからです。

僕はAGAでは、まず診断を確認したうえで「進行を止める治療」と「増やす治療」を分けて考えます。

AGAそのものの原因や診断については、「AGA(男性型脱毛症)とは?原因と治療」で詳しく解説しています。

目次

まず3つの薬の役割を整理

治療 主な役割 国内での位置づけ
フィナステリド DHT産生を抑え、AGAの進行を抑える 男性AGAに承認
デュタステリド DHT産生をより広く抑え、AGAの進行を抑える 男性AGAに承認
ミノキシジル外用 毛包に働き、発毛を後押しする AGAに使用される承認された外用治療
ミノキシジル内服 発毛を促す目的で使われることがある AGA治療として国内未承認

フィナステリドとは?

AGAでは、男性ホルモンのテストステロンからDHT(ジヒドロテストステロン)が作られ、このDHTが毛包に作用することで毛が細く短くなっていきます。

フィナステリドは5α還元酵素を阻害し、DHTの産生を抑える薬です。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、男性AGAに対して推奨度Aとされています。

治療のイメージとしては、「新しく髪を生やす薬」というより、AGAの進行を止める土台の薬と考える方が分かりやすいです。

主な注意点

性欲低下、勃起機能低下などの性機能関連症状、肝機能障害などが報告されています。またPSA値を低下させるため、前立腺がん検診などを受ける場合は内服中であることを伝える必要があります。

デュタステリドとは?

デュタステリドもDHT産生を抑える薬ですが、フィナステリドより広いタイプの5α還元酵素を阻害します。

男性AGAに国内承認され、日本皮膚科学会ガイドラインでも推奨度Aです。臨床試験ではフィナステリドより毛髪数などの改善が大きかった報告もあり、より強くDHTを抑えることが期待できます。

ただし、だから全員が最初からデュタステリドでよいとは僕は考えていません。副作用、費用、今後どの程度治療を継続するかも含めて選びます。

フィナステリドとデュタステリド、どちらを選ぶ?

僕は、AGAの進行度、本人がどこまで改善を求めるか、過去の治療歴、副作用への考え方を見ながら決めます。

フィナステリドで十分に維持できている人なら、無理に変更する必要はありません。一方、進行が目立つ、フィナステリドで十分な反応が得られないなどの場合には、デュタステリドを検討する意味があります。

ミノキシジル外用とは?

ミノキシジル外用は、フィナステリドやデュタステリドとは作用の方向が異なります。DHTを抑えるのではなく、毛包に働いて発毛を促す治療です。

日本皮膚科学会ガイドラインでは男女とも推奨度Aです。つまり、AGA治療では「進行を抑える内服+発毛を後押しする外用」という組み合わせは、非常に理にかなっています。

外用では頭皮のかぶれ、赤み、かゆみなどが出ることがあります。また使い始めに一時的に抜け毛が増えたように感じることがあります。

ミノキシジル内服はどう考える?

ミノキシジル内服は、AGA治療として処方されているクリニックもありますが、日本ではAGAに対して承認されていません。

発毛効果を期待できる一方、多毛、むくみ、動悸、血圧への影響など全身性の副作用を考える必要があります。僕は「塗るより効きそうだから」という理由だけで安易に選ぶ薬ではないと考えています。

使う場合には、国内承認治療との違いとリスクを理解したうえで、既往歴や併用薬を含めて慎重に判断する必要があります。

薬を始めればすぐ生える?

AGA治療は数日や数週間で評価するものではありません。毛周期があるため、効果判定には時間が必要です。

また、治療を中止するとAGAの進行が再び表面化することがあります。僕は開始時に「何を目標に、どのくらい続けるか」を最初から共有することが大切だと思っています。

IN PRACTICE

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 まず、本当にAGAなのかを確認します

生え際や頭頂部が薄く見えても、円形脱毛症、休止期脱毛、炎症性の脱毛などが混ざることがあります。見た目だけでAGAと決めつけず、進行パターンや頭皮所見を確認します。

2 エビデンスと国内での位置づけが明確な治療を土台にします

AGAと判断したら、まずフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル外用など、国内での承認状況と根拠がはっきりしている治療から考えます。サプリメントや高額な注入治療を最初から主役にはしません。

3 「進行を抑える治療」と「発毛を狙う治療」を分けて考えます

フィナステリドやデュタステリドは進行を抑えること、ミノキシジルは発毛を後押しすることが主な役割です。何を改善したいのかを共有して、必要な組み合わせを選びます。

4 未承認治療は、承認治療と同列には扱いません

ミノキシジル内服など国内未承認の治療には、効果を期待して使われている実臨床がある一方で、承認治療とはエビデンスや安全性評価の位置づけが異なります。使うなら、その違いとリスクを説明したうえで選ぶことを大切にしています。

まとめ

フィナステリドとデュタステリドはAGAの進行を抑える薬、ミノキシジル外用は発毛を後押しする薬です。役割が違うため、単純な「最強薬ランキング」では考えられません。

AGAは早めに進行を抑えるほど治療しやすい病気です。変化が気になった段階で、一度きちんと診断を受けてください。

参考文献

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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