サブシジョンとは?|ローリング型ニキビ跡に向く治療を皮膚科医が解説

ローリング型ニキビ跡に対するサブシジョンの適応・流れ・ダウンタイムを解説する記事のアイキャッチ画像

ニキビ跡の凹み治療で「サブシジョン」という言葉を聞くことが増えました。

ただ、凹みがある人全員にサブシジョンをすればよいわけではありません。サブシジョンが特に力を発揮するのは、皮膚の下の線維性組織に引っ張られてできるrolling scar(ローリング型瘢痕)です。

ニキビ跡治療は、機械ではなく「凹みの形と原因」を見て選ぶ。サブシジョンは、その中でも癒着を解除するための治療です。

ニキビ跡全体の種類については、まず「ニキビ跡は全部同じではありません|赤み・クレーターの種類で治療が変わる理由」をご覧ください。

目次

サブシジョンとは?

サブシジョンは、針やカニューレなどを皮膚の下に入れ、凹んだ瘢痕を下方向へ引っ張っている線維性の癒着を切り離す治療です。

ニキビ跡の中には、皮膚表面を削ったり熱を加えたりするだけでは改善しにくいものがあります。特に、表面はなだらかなのに広く凹んで見えるrolling scarでは、皮膚の下で瘢痕組織が表面を引き込んでいることがあります。

この「下からの引っ張り」を解除するのがサブシジョンです。

サブシジョンが向きやすいのはrolling scar

rolling scarは、輪郭がくっきりした穴というより、照明の角度によって波打つように見える凹みです。皮膚を横に伸ばしたときに目立ちにくくなるタイプは、癒着が関与していることがあります。

僕は診察で、凹みの形、皮膚の厚み、触ったときの硬さ、皮膚を動かしたときの変化を見て、サブシジョンの適応を考えます。

サブシジョンが向かないニキビ跡もある

ice pick scar

細く深く、針で刺したようなice pick scarは、サブシジョンだけでは十分に改善しにくいことがあります。こうした瘢痕ではTCA CROSSやパンチによる処置など、深い部分に届く別の治療を考えます。

縁がはっきりしたboxcar scar

boxcar scarでは、底の癒着が強ければサブシジョンが役立つことがあります。一方、凹みの縁が急で、その段差そのものが目立っている場合は、サブシジョンだけでは不十分です。

その場合はCO2レーザーなどで辺縁をなだらかにする治療や、フラクショナル治療などを組み合わせることがあります。

レーザーとサブシジョンは何が違う?

フラクショナルレーザーは、皮膚に微細な熱損傷を作り、再構築を促す治療です。一方サブシジョンは、皮膚の下にある癒着そのものを物理的に解除する治療です。

つまり、同じ「凹み治療」でも狙っている構造が違います。

僕は、rolling scarが強いのにレーザーだけを繰り返すより、まず癒着を解除し、その後に肌表面の凹凸を整える治療を組み合わせる方が理にかなっているケースがあると考えています。

実際には1つの治療だけで終わらないことが多い

ニキビ跡は、rolling、boxcar、ice pickが同じ顔の中に混在していることが珍しくありません。そのため、サブシジョンだけですべての凹みを治そうとすると限界があります。

診察では、例えば次のように役割を分けて考えます。

  • rolling scar:サブシジョンを中心に考える
  • boxcar scar:深さや辺縁に応じてサブシジョン、フラクショナルレーザー、辺縁処理など
  • ice pick scar:TCA CROSSやパンチ治療など
  • 残った表面の質感:フラクショナルレーザーやマイクロニードル系治療など

症例によってはヒアルロン酸などの注入治療を組み合わせる報告もありますが、何を組み合わせるかは瘢痕の形によって変わります。

ダウンタイムは?

サブシジョンでは、腫れ、内出血、痛み、圧痛が比較的よくみられます。治療部位が広いほど内出血が目立つことがあります。

報告されている合併症としては、血腫、皮下のしこり、感染、色素沈着などがあります。まれに神経や血管への影響なども考える必要があり、解剖を理解して行う治療です。

鋭い針を用いる方法と鈍的なカニューレを用いる方法があり、瘢痕の場所や形、治療範囲によって選択されます。方法によって副作用の出方も異なります。

何回で治る?

ニキビ跡の深さや癒着の強さによって必要な回数は変わります。1回で大きく改善する部分もありますが、複数回の治療や他治療との組み合わせが必要になることもあります。

僕は最初から「何回やれば完全に消える」とは言いません。瘢痕治療は、改善度とダウンタイム、費用のバランスを見ながら積み上げていく治療だからです。

活動性ニキビが残っているなら、先にそちらを止める

新しい赤ニキビや硬いしこりが次々できている状態で、凹み治療だけを進めるのは効率がよくありません。新しい瘢痕が増え続ける可能性があるからです。

僕はまず活動性ニキビをしっかり治療し、新しい瘢痕が増えにくい状態にしてからニキビ跡治療へ進むことを基本にしています。活動性ニキビの治療については、「ニキビは皮膚科でどう治す?|跡を残さないために、僕が最初に考えること」で詳しく説明しています。

IN PRACTICE

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 まず、活動性ニキビを止めてから凹み治療を考えます

新しい赤ニキビや膿疱が次々できている状態では、ニキビ跡治療を急ぐより、まず炎症を止めて新しい瘢痕を増やさないことを優先します。

2 凹みを「全部同じクレーター」とは考えません

rolling scarには皮下の癒着、boxcar scarには縁と底、ice pick scarには狭く深い構造があります。見た目だけではなく、どの構造が凹みを作っているかを見て治療を選びます。

3 癒着が原因なら、サブシジョンを重要な選択肢にします

僕がサブシジョンを使いたいのは、皮膚を下へ引っ張っている線維性癒着を直接解除できるからです。逆に、癒着が目立たない瘢痕へ無理に行う必要はありません。

4 サブシジョンだけですべてを治そうとはしません

凹みの形によっては、CO2フラクショナルレーザー、TCA CROSS、パンチ処置など別の治療が適しています。必要なら治療を組み合わせ、瘢痕の構造ごとに役割を分けて考えます。

まとめ

サブシジョンは、特にrolling scarのような線維性癒着を伴うニキビ跡に向く治療です。ただし、ニキビ跡は複数のタイプが混ざるため、レーザーやTCA CROSSなど他の治療と組み合わせることがあります。

「サブシジョンを受けるか」より先に、まず自分の凹みがどのタイプなのかを診断してもらうことが大切です。

参考文献

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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