ニキビにケミカルピーリングは必要?|僕が活動性ニキビにまず行わない理由

ニキビにケミカルピーリングは必要かを解説する記事のアイキャッチ。活動性ニキビにまず行わない理由を皮膚科専門医が説明

「ニキビにはケミカルピーリングをしたほうがいいですか?」と聞かれることがあります。

先に結論を言うと、ケミカルピーリングはニキビに一定の効果がある治療ですが、すべての人に必要な治療ではありません。僕自身は、赤ニキビや膿疱が次々にできているような活動性ニキビの治療で、最初からケミカルピーリングを主役にすることはほとんどありません。

理由はシンプルです。僕が活動性ニキビで最優先したいのは、肌を一時的につるっと見せることではなく、新しいニキビができ続ける状態を止め、炎症を早く抑えて、ニキビ跡を残すリスクを下げることだからです。

目次

ケミカルピーリングは「効かない治療」ではありません

ケミカルピーリングは、酸などの薬剤を皮膚に塗布し、角層や毛穴周囲に作用させる治療です。ニキビでは、グリコール酸やサリチル酸などが使われます。

毛穴の詰まりを改善し、面皰(白ニキビ・黒ニキビ)を減らすことで、結果として炎症性のニキビが減ることもあります。そのため、「ピーリングはニキビに意味がない」というわけではありません。

ガイドラインでも「選択肢の一つ」にはなっています

日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、面皰と炎症性皮疹のどちらについても、標準治療が無効、または標準治療を実施できない場合に、グリコール酸またはサリチル酸マクロゴールを用いたケミカルピーリングを選択肢の一つとして推奨しています。推奨度はC1です。

一方で、サリチル酸エタノールについては推奨度C2で、現時点では推奨されていません。また、ケミカルピーリングはいずれもニキビに対して保険適用外です。

ここで大切なのは、ガイドラインがケミカルピーリングを「まず全員に行う標準治療」には位置づけていないことです。標準的な薬物治療をしっかり行えるのであれば、まずそちらを優先するのが基本だと僕は考えています。

僕が活動性ニキビにピーリングを最初から使わない理由

1 まず「新しいニキビができる流れ」を止めたいから

ニキビ治療で僕が重視しているのは、今ある一つ一つのニキビだけを見ることではありません。目に見えない段階の毛穴詰まりも含めて、ニキビが新しくでき続ける肌全体を治療することが重要です。

アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬は、毎日の治療として面皰形成を抑え、炎症性皮疹の治療や再発予防につなげていけます。炎症が強い場合には、必要に応じて抗菌薬なども組み合わせます。

ニキビの基本治療については、「ニキビは皮膚科でどう治す?|跡を残さないために、僕が最初に考えること」で詳しく解説しています。

2 炎症が続く時間をできるだけ短くしたいから

赤ニキビや硬いニキビが長く残るほど、色素沈着や凹んだニキビ跡につながる可能性があります。だから僕は、活動性ニキビが残っている段階では、まず炎症を止める治療を優先します。

ピーリングを何回も続けているのに、赤ニキビが次々にできているのであれば、「ピーリングを続けるか」より先に、現在の薬物治療が十分か、そもそもの診断が合っているかを見直したほうがよいことがあります。

3 刺激を重ねればよいわけではないから

ニキビ治療では、アダパレンや過酸化ベンゾイルなどでも乾燥、赤み、ヒリつきが出ることがあります。そこにピーリングを重ねると、肌の状態によっては刺激が強くなりすぎることがあります。

治療は強ければ強いほど良いわけではありません。必要な治療を十分な強さで続けながら、刺激が出れば塗り方や頻度を調整する。僕はこのバランスを大切にしています。

では、どんなときにケミカルピーリングを考える?

僕もケミカルピーリングそのものを否定しているわけではありません。例えば、次のような状況では選択肢になり得ます。

  • 標準的な外用治療を十分に行っても改善が乏しい
  • 副作用などで標準治療を十分に続けられない
  • 面皰が主体で、追加治療として検討したい
  • 薬物治療で活動性ニキビを抑えたうえで、肌質や毛穴など別の目的も含めて施術を希望する

ただし、「ニキビだからとりあえずピーリング」という使い方ではなく、今のニキビの状態と、何を目的に施術するのかを整理してから選ぶ治療だと思っています。

ニキビ跡を治したい場合は、話が少し変わります

「ニキビ」と「ニキビ跡」は、治療の考え方を分けたほうが分かりやすいです。

赤みや色素沈着、毛穴、凹んだクレーターなど、ニキビ跡の種類によって検討する治療は変わります。特に凹んだニキビ跡では、ケミカルピーリングだけを主役にすることは僕は多くありません。

そして何より、活動性ニキビが次々にできている状態でニキビ跡治療ばかり進めても、新しい跡が増えてしまいます。僕はまず新しいニキビを止め、そのあとで跡の種類に合わせて治療を考えます。

ニキビ跡の種類や治療の考え方については、「ニキビ跡は全部同じではありません|赤み・クレーターの種類で治療が変わる理由」も参考にしてください。

IN PRACTICE

実際の診療なら、僕はこう考えます

活動性ニキビがあるなら、僕はまず赤ニキビをゼロにすることを目標にします。

外用薬を面で使い、必要なら内服治療や処置も組み合わせます。刺激が出たら治療をやめるのではなく、濃度、頻度、塗り方を調整しながら続けます。

そのうえで標準治療が十分に効かない、あるいは続けられない場合には、ケミカルピーリングも選択肢として考えます。ただ、活動性ニキビが残っているのに、美容施術だけを何か月も続けることは勧めません。

まとめ|ピーリングをするかより、まず活動性ニキビを止める

ケミカルピーリングは、ニキビに一定の有効性がある治療です。ガイドラインでも、標準治療が無効または実施できない場合には、グリコール酸やサリチル酸マクロゴールが選択肢として挙げられています。

ただし、ニキビ治療の中心は「何か美容施術を受けること」ではありません。今ある炎症を抑え、新しいニキビを作らせず、跡を残さないこと。僕はそこから考えます。

ピーリングを続けているのにニキビが繰り返している方は、一度「施術を追加するか」ではなく、現在の診断と基本治療が十分かを見直してみてほしいと思います。

参考文献・ガイドライン

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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