ケロイドの治療|テープ・注射・手術・放射線治療の選び方

ケロイドのテープ・注射・手術・放射線治療を解説するアイキャッチ

手術、けが、やけど、ニキビ、ピアスなどのあとに、傷が赤く盛り上がり、少しずつ広がってくることがあります。

その代表がケロイドです。

ケロイドは「盛り上がった傷を切れば終わり」ではありません。炎症を抑える治療と、手術する場合の再発予防を組み合わせることが重要です。
目次

ケロイドと肥厚性瘢痕の違い

肥厚性瘢痕は、基本的にもとの傷の範囲内で赤く盛り上がります。一方、ケロイドはもとの傷の範囲を越えて周囲へ広がるのが特徴です。

ただし両者は連続的で、実際には明確に分けにくいこともあります。

ケロイドは前胸部、肩、上腕、耳などにできやすく、かゆみ、痛み、引きつれを伴うことがあります。

まず使うことが多い治療

ステロイド貼付剤・外用薬

赤みや盛り上がりが比較的軽い病変では、ステロイドを含むテープ剤などを使って炎症を抑えます。

毎日継続しやすい方法ですが、皮膚が薄くなる、毛細血管が目立つなどの副作用に注意します。

ステロイド局所注射

盛り上がり、硬さ、かゆみ、痛みが強い場合は、ケロイド内へステロイドを局所注射します。

一度で完全に平らになるとは限らず、間隔をあけて繰り返すことがあります。

圧迫・シリコーン

部位によっては圧迫療法やシリコーンジェルシートなどを併用します。摩擦や張力を減らすことも大切です。

手術はいつ考える?

大きい、強く盛り上がっている、保存的治療だけでは十分に改善しない、形の問題が大きいなどの場合に手術を検討します。

ただし、ケロイドは手術単独では再発しやすいため、切除するなら術後のテープ、圧迫、ステロイド治療、放射線治療などを組み合わせて再発予防を計画します。

術後放射線治療

難治性ケロイドでは、切除後に放射線治療を行うことがあります。

日本形成外科学会の診療ガイドラインでは、ケロイド切除後の放射線治療は再発率を下げるため推奨されています。

ただし、年齢、部位、病変の大きさ、既往歴などを考慮して適応を判断します。すべてのケロイドに必要な治療ではなく、形成外科・放射線治療部門など専門施設との連携が必要になることがあります。

レーザー治療は?

赤みを抑える目的などで色素レーザーが補助的に使われることがあります。

ただし、レーザーだけですべてのケロイドが治るわけではありません。盛り上がり、硬さ、痛み、部位などに応じて他の治療と組み合わせます。

再発を減らすために大切なこと

ケロイドは炎症と張力の影響を受けます。治療後も、こすれ・引っ張り・圧迫の偏りを減らし、赤みや盛り上がりが再び出ていないか確認します。

ピアス後ケロイドでは、再び同じ部位に刺激を加え続けないことも重要です。

一般的な術後の傷跡ケアについては手術の傷跡を目立たせにくくするために僕が考えていることで解説しています。

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 まず肥厚性瘢痕とケロイドを見分けます

赤く盛り上がった傷を全部「ケロイド」と呼ぶのではなく、元の傷を超えて広がっているか、部位や経過を確認します。

2 小さいうちから炎症を抑えます

赤み、かゆみ、盛り上がりが強くなってからより、早い段階でテープやステロイド注射などを使った方が治療しやすいことがあります。

3 手術単独で終わらせません

難治性ケロイドを切除するなら、術後の再発予防までセットで考えます。

4 放射線治療が必要な症例は専門施設と連携します

大きい、再発を繰り返す、部位的に再発リスクが高いなどの場合は、形成外科や放射線治療部門と連携して治療計画を組みます。

5 治すだけでなく「次の傷跡を作りにくくする」ことも重要です

手術やピアスなど新たな傷を作るときには、ケロイドの既往や部位を踏まえて、そもそも処置を行うべきかまで考えます。

まとめ

ケロイドは、もとの傷を超えて広がる炎症性の瘢痕です。治療にはステロイド貼付剤・局所注射、圧迫、シリコーン、手術、放射線治療などがあります。

一つの方法だけでなく、病変の大きさ・部位・再発歴に合わせて組み合わせ、長期的に再発を抑えることが大切です。

参考文献・情報源

医学情報の確認日:2026年10月20日。

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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