子どもが頭をかゆがる。髪をよく見ると、白い粒が毛にくっついている。こうしたときに考えるのがアタマジラミです。
一方、大人で陰毛部に強いかゆみがあり、毛の根元に小さな虫や卵が付いている場合には、ケジラミ(毛じらみ)を考えます。
アタマジラミと毛じらみは別のシラミです
| アタマジラミ | ケジラミ(毛じらみ) | |
|---|---|---|
| 主な寄生部位 | 頭髪、とくに耳の後ろ〜後頭部 | 主に陰毛部。まれに腋毛など |
| 主な感染経路 | 頭同士の接触、帽子・タオル・クシ・寝具などの共用 | 主に性的接触など密接な身体接触 |
| 症状 | 頭皮のかゆみ、掻き壊し、湿疹 | 陰毛部の強いかゆみ、掻き壊し |
| 見つけ方 | 毛に固着する卵、虫体 | 陰毛に付着する卵や小さな虫体 |
アタマジラミは保育園・幼稚園・小学校などで広がりやすく、ケジラミは主に成人の密接な接触で感染します。コロモジラミはさらに別の種類で、主に衣類に寄生します。
アタマジラミはどうやって見つける?
成虫や幼虫は頭皮を動き回るため、意外と見つけにくいことがあります。診断の手がかりになるのが、毛に産み付けられた卵です。
特に耳の後ろから後頭部、えりあしを丁寧に確認します。
卵とフケの違い
アタマジラミの卵は、毛髪にしっかりと接着されています。指で払った程度では簡単に落ちません。
一方、フケやヘアーキャストは比較的動かしたり取り除いたりしやすいことが多く、この違いが診断の参考になります。
フケ、皮脂、ヘアーキャストなどが卵に見えることがあります。判断が難しければ、虫体や卵と思われるものを持参して皮膚科や保健所などで相談する方法もあります。
アタマジラミは「不潔だから」うつる?
違います。
清潔にしていてもアタマジラミは寄生します。子ども同士で頭を寄せて遊ぶ、添い寝をする、帽子やタオルを共有するといった日常的な接触で広がります。
そのため、本人や家庭を責めることには意味がありません。大切なのは、早く見つけて周囲も一緒に確認し、再感染を防ぐことです。
アタマジラミの治療
フェノトリン製剤
日本では、フェノトリンを含むシラミ駆除用シャンプーなどが市販されています。
製品の用法では、頭髪を濡らして薬剤を全体に行き渡らせ、5分ほど置いて洗い流し、2日おきに3〜4回繰り返します。
これは、成虫・幼虫には効果があっても卵が残ることがあるためです。残った卵から孵化した幼虫を順番に駆除するため、1回で終わらせず複数回行います。
すきぐしで卵を取る
薬剤だけでなく、目の細かい専用クシで毛の根元から丁寧にとかし、卵や抜け殻を物理的に取り除くことも重要です。
フェノトリンが効きにくいこともあります
地域によってはフェノトリン抵抗性のアタマジラミが問題になることがあります。
正しい方法で3〜4回使用しても生きたシラミが残っている場合は、使い方の問題だけでなく抵抗性も考えます。現在は、シラミを物理的に窒息・脱水させるジメチコン系の駆除製品も市販されています。
家の中では何をすればいい?
家中を消毒する必要はありません。アタマジラミは人から離れると長期間生き続けることはできないため、本人がよく使う物を中心に対策します。
共用をやめるもの
- タオル
- 帽子
- クシ・ブラシ
- 枕や寝具
- ヘアゴムなど頭髪に触れる物
洗えるものは洗濯する
枕カバーやタオルなど、頭に触れるものはこまめに洗います。熱に耐えられる物では、55〜60℃以上のお湯に5分程度浸す方法も有効です。
床や寝具は掃除機で十分
床や家具などは、落ちた毛髪やシラミを除く目的で掃除機をかけます。家庭全体への大がかりな殺虫剤散布は通常必要ありません。
家族全員に薬を使った方がいい?
まず家族全員の頭髪を確認します。
生きたシラミや卵が確認された人は、できるだけ同じ時期に治療を開始します。感染者が一人だけ治療し、ほかの家族に残っていると、再びうつし合う「ピンポン感染」が起こることがあります。
一方、寄生が確認できない家族まで予防的に薬剤を使う必要は通常ありません。
学校・保育園は休まないといけない?
アタマジラミが見つかったからという理由だけで、登園・登校を一律に禁止する必要はありません。
東京都の保健所でも、登園・登校、遊び、運動会、プールなどを一律に制限する必要はないと案内しています。
ただし、施設ごとのルールがある場合は園・学校と相談し、帽子やタオル、クシなどを共有しないようにします。
毛じらみ(ケジラミ)はどう対処する?
ケジラミは、主に陰毛に寄生するシラミで、強いかゆみを起こします。主な感染経路は性的接触などの密接な身体接触です。
治療には、頭じらみと同様にフェノトリン製剤を使用できます。市販のシラミ駆除用シャンプーには、陰毛部への使用量が記載されている製品もあります。
陰毛を短くしたり剃毛したりすることは補助になりますが、それだけで完全に駆除できるとは限りません。
パートナーも一緒に確認します
毛じらみでは、本人だけ治療してもパートナーに寄生が残っていると再感染する可能性があります。最近接触したパートナーも確認し、必要なら同時に治療します。
また、毛じらみが確認された場合は、ほかの性感染症のリスクも考え、必要に応じて検査を相談します。
こんなときは皮膚科で相談してください
- シラミなのかフケなのか分からない
- 頭皮を強く掻き壊して、赤み・膿・痛みがある
- 市販薬を正しく使っても生きたシラミが残る
- 何度も家族内で再発する
- まつ毛や眉毛など通常とは違う場所に虫が付いている
- 陰毛部の強いかゆみがあり、毛じらみが疑われる
- 毛じらみと同時に他の性感染症も心配
実際の診療なら、僕はこう考えます
1 まず、本当にシラミかを確認します
「白いものが髪についている」というだけでアタマジラミとは決めません。卵なのか、フケ・ヘアーキャストなのかを確認します。無駄な薬剤使用を避けるためにも診断が先です。
2 子どものアタマジラミでは、家庭全体の対策まで説明します
本人だけ薬を使っても、タオルや寝具を共有したり、家族に寄生が残っていたりすると繰り返します。誰が悪いという話ではなく、家族で同時に確認して10日程度きちんと対策することが大切です。
3 市販薬で治らなければ「もっとたくさん使う」ではなく、理由を考えます
使用回数や塗布方法が不十分なのか、卵から再び孵化しているのか、フェノトリン抵抗性なのかを考えます。正しく使っても生きた虫が残るなら、同じ方法を漫然と繰り返さない方がよいと思います。
4 毛じらみでは、パートナーまで含めて考えます
毛じらみは本人だけを治療して終わりではありません。再感染を防ぐためにパートナーの確認が必要ですし、状況によっては他の性感染症検査も提案します。
まとめ
アタマジラミは、清潔・不潔に関係なく、頭同士の接触や身の回り品の共有で広がります。卵は毛に強く固着するため、フケとの違いを確認することが大切です。
治療はシラミ駆除薬とすきぐしを組み合わせ、家族や周囲も確認しながら再感染を防ぎます。毛じらみでは主に密接な身体接触で感染するため、パートナーも含めた対応が必要です。
参考文献・情報源
医学情報の確認日:2026年10月27日。
