皮膚血管炎とは?紫斑が出たとき|症状・検査・治療

皮膚血管炎による紫斑と触知性紫斑を解説するアイキャッチ画像

脚に赤紫色の点々が出てきた。押しても色が消えず、触ると少し盛り上がっている。こうした紫斑の原因の一つに、皮膚の細い血管に炎症が起こる皮膚血管炎があります。

ただし、紫斑があるからといって、すべてが血管炎ではありません。血小板の異常、血液を固める機能の異常、皮膚の血管がもろくなることで起こる紫斑などもあります。

血管炎による紫斑では、「押しても消えない」だけでなく、触ると少し盛り上がる触知性紫斑が重要な手がかりです。さらに、腹痛・関節痛・血尿・蛋白尿などがあれば、皮膚だけではなく全身の血管炎を考えます。
目次

皮膚血管炎とは?

血管炎とは、血管の壁に炎症が起こる病気の総称です。

皮膚の細い血管に炎症が起こると、血管壁が傷ついて赤血球が皮膚の中に漏れ出し、紫斑として見えることがあります。

小血管炎では、病理組織で好中球が血管周囲に集まり、核が崩れてみえる白血球破砕性血管炎という所見を認めることがあります。

紫斑とは?赤い発疹とは何が違う?

紫斑は、皮膚の中に血液が漏れ出している状態です。そのため、指や透明な板で圧迫しても色が消えません。

一方、一般的な紅斑は血管が拡張して赤く見えているため、圧迫すると一時的に色が薄くなることがあります。

血管炎による紫斑 血小板・凝固異常などによる紫斑
触った感じ 軽く盛り上がることがある 多くは平ら
よく出る場所 下腿など重力のかかる部位 全身に出ることがある
ほかの皮疹 血疱、丘疹、潰瘍、壊死を伴うことがある 点状出血やあざ状の出血が主体
検査 尿検査、採血、皮膚生検など 血小板数、凝固系検査など

血管炎を疑う紫斑の特徴

触ると少し盛り上がる

小血管炎では、数mm程度の赤紫色の斑が触るとわずかに盛り上がる触知性紫斑になることがあります。

下腿に多い

重力の影響を受けやすい両下腿や足首周囲に多発することがよくあります。IgA血管炎では下腿や臀部に出やすいことが知られています。

血疱や潰瘍を伴うことがある

炎症が強いと、水疱の中に血液がたまった血疱、皮膚潰瘍、壊死を伴うことがあります。

皮膚血管炎の原因は?

原因は一つではありません。

感染症

上気道感染などをきっかけに血管炎が起こることがあります。IgA血管炎では、感染症のあとに症状が出ることがあります。

薬剤

抗菌薬、鎮痛薬など、さまざまな薬が血管炎の誘因になることがあります。新しく始めた薬だけでなく、最近変更した薬やサプリメントも含めて確認します。

自己免疫疾患・膠原病

全身性エリテマトーデス、ANCA関連血管炎など、全身性の自己免疫疾患に伴って皮膚血管炎が出ることがあります。

原因が特定できないこともあります

検査をしても明確な原因が見つからず、皮膚だけに限局して自然に軽快する小血管炎もあります。

代表的なIgA血管炎とは?

IgA血管炎は、以前「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病」と呼ばれていた病気です。小児に多いですが、成人でも起こります。

皮膚症状に加えて、関節痛、腹痛、消化管出血、血尿・蛋白尿などを伴うことがあります。

小児では比較的予後がよいことが多い一方、成人、とくに高齢者では腎障害などを伴う重症例がみられるため注意が必要です。

IgA血管炎で皮膚以外に特に確認したいのが「腎臓」です。
本人に自覚症状がなくても血尿・蛋白尿が出ていることがあります。そのため、紫斑だけに見えても尿検査を行う意味があります。

どんな検査をする?

尿検査

血尿や蛋白尿がないかを確認します。IgA血管炎や全身性血管炎では、腎障害を見逃さないために重要です。

血液検査

炎症反応、血算、腎機能、肝機能などを確認します。

病状によってはIgA、補体、ANCA、クリオグロブリン、自己抗体などを追加します。

皮膚生検

血管炎を疑う新しい皮疹を一部採取し、血管壁の炎症や白血球破砕性血管炎の有無を確認します。

蛍光抗体直接法

IgA血管炎が疑われる場合には、病変近くの皮膚で血管壁へのIgA沈着を確認することがあります。

皮膚生検は、できてから時間が経ちすぎた紫斑よりも、新しく出た活動性の高い病変を選ぶ方が診断につながりやすいことがあります。

皮膚だけの血管炎なら自然に治る?

原因となった感染症や薬剤などが落ち着き、皮膚だけに限局した軽症の小血管炎であれば、数週間程度で自然に軽快することがあります。

ただし、紫斑が繰り返す、潰瘍ができる、全身症状がある場合には、単純な経過観察だけではなく原因検索と治療が必要です。

皮膚血管炎はどう治療する?

治療は「血管炎」という名前だけで一律に決めるのではなく、原因と全身病変の有無で決めます。

原因薬が疑われる場合

薬剤性が疑われれば、必要性を確認したうえで原因薬の中止・変更を検討します。自己判断で重要な薬を中止せず、処方医と相談します。

皮膚症状が軽い場合

安静や下肢の挙上などで改善することがあります。症状に応じて鎮痛薬や外用治療などを行います。

全身症状がある場合

腹部症状、腎障害、神経障害などがある場合には、ステロイドや免疫抑制治療など、病型と重症度に応じた全身治療が必要になることがあります。

こんな紫斑は早めに受診してください

  • 紫斑が急速に広がっている
  • 触ると盛り上がる紫斑が両脚に多発している
  • 血疱、潰瘍、黒い壊死を伴う
  • 発熱や強いだるさがある
  • 腹痛、血便がある
  • 関節痛・関節の腫れが強い
  • 赤い尿、血尿、尿量低下がある
  • しびれや筋力低下など神経症状がある
  • 息苦しさ、血痰など呼吸器症状がある

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 まず「紫斑=血管炎」と決めつけません

血小板減少、凝固異常、老人性紫斑などでも紫斑は出ます。触知性があるか、分布はどうか、出血傾向がないかを確認し、採血も含めて分けていきます。

2 血管炎を疑ったら、尿検査はかなり大事です

皮膚しか症状がないように見えても、血尿・蛋白尿が隠れていることがあります。とくにIgA血管炎を考えるときは、皮膚だけ見て終わりにはしません。

3 新しい薬・最近の感染症・全身症状をまとめて確認します

血管炎は皮膚だけの病名ではなく、感染症、薬剤、膠原病などの背景を探す必要があります。腹痛、関節痛、腎症状、神経症状まで一緒に確認します。

4 必要なら早めに生検します

見た目だけで血管炎かどうか迷う場合や、IgA血管炎など病型をはっきりさせたい場合は、活動性のある皮疹から皮膚生検を考えます。時間が経って皮疹が変化する前に診断材料を取ることが大切です。

まとめ

皮膚血管炎では、両下腿を中心に、押しても消えない紫斑や、触ると盛り上がる触知性紫斑が出ることがあります。

ただし、紫斑の原因は血管炎だけではありません。診断では、血小板・凝固異常などを除外しながら、尿検査、採血、必要に応じて皮膚生検を行います。

腹痛、関節痛、血尿・蛋白尿などがある場合は、皮膚だけの病気ではなく全身性の血管炎を考える必要があります。紫斑が急に増えたときは、見た目だけで自己判断せず皮膚科で相談してください。

参考文献・情報源

医学情報の確認日:2026年10月27日。

MEDICAL INFORMATION
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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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