掌蹠膿疱症とは?手のひら・足の裏に膿疱が出る病気|原因・治療・関節症状

手のひらや足の裏に、小さな水ぶくれや膿疱が繰り返し出る。皮がむけ、赤くなり、良くなったと思ってもまた出てくる。

こうした症状で考える病気の一つが掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)です。

掌蹠膿疱症は「手足に膿が出る=細菌感染」ではありません。水虫や湿疹との鑑別を行い、皮膚だけでなく喫煙、歯科・扁桃などの病巣、骨関節症状まで見ていく病気です。
目次

掌蹠膿疱症とは?

掌蹠膿疱症は、手のひら・足の裏に無菌性の膿疱を繰り返す慢性炎症性疾患です。

小さな水疱から始まり、黄白色の膿疱となり、時間がたつと褐色のかさぶたや落屑へ変化します。新しい病変と古い病変が混在することもあります。

水虫や汗疱とはどう違う?

足底に皮むけや小水疱があると、水虫と見分けにくいことがあります。また、汗疱・異汗性湿疹でも手足に小さな水疱が出ます。

必要に応じてKOH直接鏡検で白癬菌を確認します。見た目だけで「水虫」と決めつけず、真菌検査を行うことが重要です。

足のかゆみの鑑別については足がかゆい=水虫とは限らないも参考にしてください。

なぜ起こる?喫煙・病巣感染との関係

原因を一つに決めることはできませんが、日本皮膚科学会の「掌蹠膿疱症診療の手引き2022」では、喫煙、歯性病巣、扁桃などの病巣感染との関連が重要視されています。

喫煙者では禁煙を勧めます。歯周病や歯性病巣、副鼻腔炎、扁桃などが疑われる場合は、必要に応じて歯科・耳鼻咽喉科と連携します。

ただし、すべての患者さんに一律で抜歯や扁桃摘出を行うという意味ではありません。症状や所見を確認して適応を判断します。

胸・鎖骨まわりや関節が痛むことがあります

掌蹠膿疱症では、胸鎖関節などに炎症を起こす掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)を合併することがあります。

前胸部、鎖骨周囲、背中などの痛みが続く場合は「皮膚とは別の整形外科疾患」と決めつけず、掌蹠膿疱症との関連を考えます。

治療

塗り薬

炎症を抑えるためにステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬などを使います。角層が厚い部位なので、病変の状態に合わせて剤形や強さを調整します。

光線療法

外用だけで十分に抑えられない場合、ナローバンドUVBやエキシマ光などの光線療法を検討します。

内服治療

症状が強い場合は、レチノイド、シクロスポリンなどの全身治療が検討されることがあります。適応や副作用を考えながら選択します。

生物学的製剤

既存治療で効果不十分な中等症〜重症例では、生物学的製剤が選択肢になります。

日本ではグセルクマブに加え、その後リサンキズマブ、ブロダルマブなども掌蹠膿疱症に適応が追加されています。導入には疾患活動性、安全性、感染症リスクなどを確認し、学会の施設要件に沿って使用します。

長く付き合う病気だから、治療を組み合わせる

掌蹠膿疱症は、一度の治療ですぐ完全に終わるとは限りません。皮疹の強さ、生活への影響、骨関節症状、喫煙や病巣感染などを確認しながら、治療を組み合わせます。

乾癬と治療薬が重なる部分はありますが、同じ病気ではないため、診断と治療評価は分けて考えます。

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 まず本当に掌蹠膿疱症かを確認します

手足の膿疱だけで決めず、水虫や汗疱、接触皮膚炎などを鑑別します。足では必要なら真菌検査をします。

2 皮膚だけ見て終わらせません

喫煙、歯科・扁桃などの病巣、胸鎖部を中心とした骨関節痛がないかまで確認します。

3 軽症と難治例を同じ治療で引っ張りません

外用や光線療法で不十分なら、全身治療や生物学的製剤まで含めて治療を一段上げることを考えます。

4 生物学的製剤が必要なら適切な施設につなぎます

治療選択肢が増えている病気なので、「治りにくいから仕方ない」で終わらせず、重症度に応じて専門施設との連携も考えます。

まとめ

掌蹠膿疱症は、手のひら・足の裏に無菌性膿疱を繰り返す慢性疾患です。水虫などとの鑑別、喫煙・病巣感染の確認、骨関節症状の評価が重要です。

外用、光線療法、内服、生物学的製剤などを病状に合わせて組み合わせ、長期的に炎症を抑えていきます。

参考文献・情報源

医学情報の確認日:2026年10月20日。

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AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
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