ボーエン病とは?赤くカサカサする表皮内がん|症状・検査・治療

ボーエン病の症状・診断・治療を解説するアイキャッチ

「赤くカサカサした湿疹が、何か月たっても治らない」。そんなとき、まれですが皮膚がんが隠れていることがあります。

ボーエン病は、有棘細胞癌の細胞が表皮内にとどまっている状態で、医学的にはSCC in situ(表皮内有棘細胞癌)にあたります。

ボーエン病は湿疹・かぶれ・乾癬などに似ることがあります。治らない赤い病変は、薬を変え続ける前に「診断が合っているか」を確認することが重要です。
目次

ボーエン病とは?

日本皮膚科学会の「有棘細胞癌診療ガイドライン2025」では、ボーエン病は有棘細胞癌が表皮内にとどまる上皮内がんとされています。

この段階では腫瘍細胞は真皮へ浸潤していません。しかし、一部は時間とともに浸潤性の有棘細胞癌へ進展する可能性があるため、放置せず治療を考えます。

どんな見た目になる?

典型的には、境界が比較的はっきりした赤褐色〜褐色の局面で、表面がカサカサしたり、痂皮が付いたりします。

しかし実際には、湿疹、乾癬、脂漏性角化症、日光角化症、基底細胞癌などと見た目だけでは区別しにくい場合があります。

とくに片側だけに長く残る、ステロイド外用などで一時的に赤みが引いても繰り返す、徐々に大きくなる、出血やびらんが出てくる場合は、一度皮膚科で確認した方がよいです。

原因は?

紫外線、慢性的な刺激、ヒトパピローマウイルス(HPV)など複数の因子が関与すると考えられています。発生部位や患者背景によって関連する要因は異なります。

「この生活習慣が原因だった」と一つに断定できる病気ではありません。

診断では生検・病理検査が重要です

ダーモスコピーは診断の補助になりますが、ボーエン病を疑った場合には病理組織検査で確定診断することが重要です。

病変の一部を局所麻酔下で採取する生検、または病変全体を切除して病理検査を行います。

皮膚がんの可能性がある病変を、診断がつかないままレーザーや焼灼で消してしまうと、病理検査ができなくなることがあります。

治療の基本は病変を確実に治療すること

手術

小さく限局した病変では、周囲に一定の安全域をつけて切除し、病理検査で取り切れているか確認する方法が分かりやすい治療です。

部位や大きさによっては縫合、皮弁、植皮などの再建を検討します。

手術以外の治療

年齢、部位、大きさ、併存疾患などによっては、掻爬・電気凝固、凍結療法、光線力学療法、外用療法などが検討されることがあります。

ただし、病変の深さや浸潤の有無を十分に評価したうえで選択することが重要です。

ボーエン病と有棘細胞癌の違い

ボーエン病は腫瘍細胞が表皮内にとどまっている状態です。一方、腫瘍細胞が基底膜を越えて真皮へ浸潤すると浸潤性の有棘細胞癌となります。

盛り上がりが強くなる、硬い腫瘤ができる、潰瘍・出血が増えるなどの場合は、浸潤をより慎重に評価します。

こんな赤い病変は一度診断を

  • 数か月以上治らない赤いカサカサがある
  • 湿疹の薬を塗っても同じ場所に繰り返す
  • 少しずつ拡大している
  • 出血・びらん・潰瘍がある
  • 硬い部分や盛り上がりが出てきた

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 「湿疹として治らない」時点で診断を見直します

同じ場所の赤い病変が長く残る場合、薬を強くしていくだけではなく、そもそも湿疹なのかを考え直します。

2 がんの可能性があるなら、先に焼かない・削らない

美容的な処置をする前に、ダーモスコピーや生検で診断をつけます。病理を残せることは非常に重要です。

3 診断がボーエン病なら、取り切れる治療をまず考えます

小さく切除しやすい病変であれば、僕は手術で病変を除去して病理で確認する方法をまず考えます。

4 手術が最適でない場合は治療法を組み替えます

部位、大きさ、年齢、全身状態で治療は変わります。必要なら皮膚がんを扱う専門施設と連携します。

まとめ

ボーエン病は、皮膚の有棘細胞癌が表皮内にとどまった上皮内がんです。湿疹のような赤くカサカサした見た目になることがあり、長く治らない場合は診断の見直しが必要です。

疑わしい病変は生検・病理検査で診断し、手術を中心に病変や患者さんの状態に合わせて治療を選びます。

参考文献・情報源

医学情報の確認日:2026年10月20日。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
プロフィールを見る →

目次