帯状疱疹ワクチンは受けるべき?生ワクチンとシングリックスの違い・効果・副反応

帯状疱疹の生ワクチンとシングリックスの違いを比較するアイキャッチ画像

「帯状疱疹のワクチンは打った方がいいですか?」「昔からあるワクチンとシングリックスは何が違いますか?」という相談はよくあります。

現在、日本で帯状疱疹予防に使われるワクチンは、大きく分けて生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)と、組換えワクチンのシングリックスの2種類です。

予防効果を最優先するなら、シングリックスの方が高く、効果も長く続きます。一方、生ワクチンは1回で済み、副反応が比較的軽いという利点があります。どちらを選ぶかは、年齢、免疫状態、費用、接種回数、副反応をどの程度許容できるかも含めて考えます。
目次

帯状疱疹ワクチンは何を予防する?

帯状疱疹は、水ぼうそうの原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に潜伏し、加齢や免疫低下などをきっかけに再活性化する病気です。

典型的には体の左右どちらかに痛みと水疱が出ます。詳しい症状については、「帯状疱疹とは?痛みと水ぶくれが出たら早めに受診を」で解説しています。

ワクチンの目的は、帯状疱疹そのものの発症を減らすことに加えて、帯状疱疹後神経痛などの合併症を減らすことです。

生ワクチンとシングリックスの違い

生ワクチン シングリックス
ワクチンの種類 弱毒化した生きたウイルスを使用 ウイルスの一部+アジュバントを用いる組換えワクチン
日本での製品 乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」 シングリックス
接種回数 1回 通常2回
接種方法 皮下注射 筋肉注射
帯状疱疹予防効果 1年で約6割、5年で約4割 1年で9割以上、5年で約9割、10年で約7割
帯状疱疹後神経痛の予防 3年時点で約6割 3年時点で9割以上
免疫が低下している人 接種できない場合がある 接種可能(接種時期は主治医と相談)
主なデメリット 効果がシングリックスより低く、時間とともに低下 2回必要で、接種部位痛・発熱・筋肉痛などが比較的出やすい

効果はどれくらい違う?

厚生労働省が示している比較では、帯状疱疹そのものに対する予防効果は、接種後1年時点で生ワクチンが約6割、シングリックスが9割以上です。

5年時点では、生ワクチンが約4割まで低下するのに対し、シングリックスは約9割の予防効果が維持されています。

シングリックスでは10年時点でも約7割の予防効果が報告されています。

「どちらもワクチンだから同じ」ではありません。
帯状疱疹をしっかり予防したいという目的なら、現時点ではシングリックスの方が高い予防効果と長い持続期間を期待できます。

シングリックスはなぜ2回必要?

シングリックスは、通常2回の筋肉注射で免疫を十分に高めます。

50歳以上では通常、2か月の間隔をあけて2回接種します。

また、日本では帯状疱疹にかかるリスクが高い18歳以上の人にも適応があります。この場合も2回接種で、通常1〜2か月の間隔をあけます。

生ワクチンは今も使われている?

使われています。

「昔のワクチン」という印象がありますが、日本では乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」が現在も50歳以上の帯状疱疹予防として承認されています。

1回で接種が終わることや、シングリックスと比べて発熱・筋肉痛などの全身反応が少ないことはメリットです。

一方、生ワクチンなので、明らかな免疫機能低下がある人や免疫抑制治療を受けている人には接種できません。

また、生ワクチンは妊娠中には接種できません。妊娠可能な女性では、接種前約1か月は妊娠していないことを確認し、接種後約2か月は妊娠を避けることが推奨されています。

シングリックスの副反応は強い?

シングリックスは、生ワクチンより副反応が出やすいワクチンです。

特に接種した腕の痛みは非常に多く、筋肉痛、疲労感、頭痛、悪寒、発熱などが出ることがあります。

多くは数日以内に改善します。

「翌日は予定を詰めすぎない方がいい」と説明することがありますが、副反応が出たからワクチンが危険という意味ではありません。

免疫を抑える治療中ならどちら?

免疫抑制治療中、血液疾患、悪性腫瘍治療中などでは、生ワクチンは接種できない場合があります。

シングリックスは生ワクチンではないため、免疫機能が低下している人にも接種できます。

このため、免疫抑制状態がある場合には、シングリックスが重要な選択肢になります。

帯状疱疹に一度なった人もワクチンを受ける?

受けることができます。

帯状疱疹は一度かかったら二度とかからない病気ではなく、再発することがあります。

日本の定期接種でも、過去に帯状疱疹にかかったことがある人は接種対象になり得ます。

ただし、帯状疱疹の急性期に接種するものではありません。皮疹や全身状態が落ち着いてから、接種時期を相談します。

2025年度から帯状疱疹ワクチンは定期接種になりました

日本では2025年度から、65歳になる人などを対象に帯状疱疹ワクチンが定期接種になりました。

2025年度〜2029年度の5年間は経過措置として、その年度に70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる人なども対象になります。

自治体によって自己負担額や実施方法が異なるため、実際の費用は住んでいる自治体で確認してください。

どちらのワクチンを選べばいい?

予防効果を最優先するならシングリックス

帯状疱疹そのものと帯状疱疹後神経痛の予防効果、効果の持続期間を重視するなら、シングリックスを選ぶメリットが大きいと考えます。

1回で終えたい・副反応を抑えたいなら生ワクチンも選択肢

生ワクチンは1回の接種で完了するため、2回来院するのが難しい場合には利点があります。

ただし、免疫抑制状態では接種できない点と、長期的な予防効果がシングリックスより低い点は理解しておく必要があります。

ワクチンを打てば帯状疱疹に絶対ならない?

絶対にならないわけではありません。

どちらのワクチンも発症リスクを大きく下げますが、100%予防できるわけではありません。

ワクチン接種後でも、体の片側に痛みや水疱が出た場合は、帯状疱疹の可能性を考えて受診してください。

発症した場合には、早期の抗ウイルス薬治療が重要です。治療については「帯状疱疹の治療|抗ウイルス薬はいつまでに始める?」で解説しています。

帯状疱疹後神経痛も減らせる?

発症リスクを減らすことができます。

厚生労働省の資料では、帯状疱疹後神経痛に対する予防効果は接種後3年時点で、生ワクチンが約6割、シングリックスが9割以上とされています。

高齢者では帯状疱疹後神経痛が長く残ることが問題になるため、「発疹を予防する」だけでなく「その後の痛みを減らす」という意味でもワクチンの価値があります。

帯状疱疹後神経痛については、「帯状疱疹後神経痛を減らすために知っておきたいこと」でも詳しく解説しています。

帯状疱疹ワクチンで認知症リスクも下がる?

最近、帯状疱疹ワクチンと認知症リスクの関係を調べた研究が相次いで報告されています。

生ワクチンで認知症診断が少なかったという自然実験

2025年にNatureに掲載された英国ウェールズの研究では、帯状疱疹生ワクチンの接種対象となった人と、誕生日のわずかな違いで対象外だった人を比較しました。

ワクチン接種の効果を推定すると、7年間の新規認知症診断が相対的に約20%少ないという結果でした。

シングリックスでも認知症リスク低下との関連が報告

2024年のNature Medicineでは、主にシングリックスを受けた集団は、主に従来の生ワクチンを受けた集団と比較して、その後6年間に認知症と診断されずに過ごす期間が17%長いという関連が報告されました。

さらに2026年にも、65歳以上でシングリックスを2回受けた人では、未接種者より認知症診断が少なかったとする大規模な観察研究が報告されています。

ただし、「シングリックスを打てば認知症を予防できる」と証明されたわけではありません。
現在の研究の多くは観察研究や自然実験です。健康意識や基礎疾患など、接種する人と接種しない人の背景の違いによる影響を完全には除けない研究もあります。現時点で帯状疱疹ワクチンの承認目的はあくまで帯状疱疹の予防であり、認知症予防を目的としたワクチンではありません。

一方で、異なる国・研究デザインで同じ方向の結果が繰り返し報告されているため、今後さらに注目されるテーマだと思います。

認知症リスクが下がるとしたら、なぜ?

まだはっきりとは分かっていません。

考えられている仮説には、ワクチン接種によって水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化や神経炎症が抑えられる可能性、ワクチンによる免疫反応そのものが神経変性に影響する可能性などがあります。

現時点では機序も含めて研究段階です。

実際の診療なら、僕はこう考えます

1 効果を一番重視するなら、シングリックスを勧めることが多いです

5年、10年と長期的な予防効果を重視し、帯状疱疹後神経痛もできるだけ減らしたいと考えるなら、シングリックスの高い予防効果は大きなメリットです。

2 ただし、生ワクチンが「悪いワクチン」というわけではありません

1回で済むこと、副反応が比較的軽いことは明確な利点です。患者さんの希望や基礎疾患、費用、通院回数も含めて選びます。

3 免疫抑制状態では、生ワクチンを選ばないことが重要です

免疫を抑える治療を受けている人では、生ワクチンが接種できない場合があります。こうした人ではシングリックスを中心に考えます。

4 認知症の研究は紹介しますが、それを接種理由の中心にはしません

認知症リスク低下を示す研究は非常に興味深く、患者さんに説明する価値はあると思います。ただし、現時点では「認知症予防のために打ちましょう」と断定する段階ではありません。まずは帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛を予防するワクチンとして考えます。

まとめ

日本の帯状疱疹ワクチンには、以前から使われている生ワクチンと、組換えワクチンのシングリックスがあります。

生ワクチンは1回接種で済む一方、帯状疱疹予防効果は1年時点で約6割、5年時点で約4割です。シングリックスは2回接種が必要で副反応も出やすいものの、1年時点で9割以上、5年時点でも約9割という高い予防効果があります。

近年は、帯状疱疹ワクチン接種と認知症リスク低下との関連を示す研究も増えています。ただし、認知症予防効果が確立したわけではなく、現時点では研究段階の追加情報として理解するのが適切です。

参考文献・情報源

医学情報の確認日:2026年10月28日。

MEDICAL INFORMATION
本サイトは一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・処方・治療に代わるものではありません。症状や治療の適否は人によって異なります。実際の治療については、診察を受けた医師と相談してください。
医療情報は記事内の確認日時点の内容です。承認状況・保険適用・ガイドライン等は変更されることがあります。詳しくは 編集方針 をご覧ください。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

AUTHOR

日本専門医機構認定 皮膚科専門医
元・総合病院皮膚科医長。現在は新潟のしむら皮膚科クリニックに勤務。
将来、札幌で皮膚科を開業予定。
プロフィールを見る →

目次